【ギブソン・ジャパン ギターテックによる ビギナー向けスタートアップガイド】番外編 ロック式トレモロ・ユニット(フロイド・ローズ)搭載エレクトリックギター弦交換方法
今回の外出自粛期間中に家で過ごす時間が増え、ギターを始められた方も多いのではないでしょうか?
そこで、今回初めてギターを手にされたビギナーの皆様へ向け、ギブソン・ジャパンのギターテックによる、エレキ&アコギの簡単な弦交換の方法からアンプにつないで音を出すところまでの手順をシリーズにわたってご紹介しました。
シリーズ第1回~3回まではこちら
今回は、その番外編という事で、ロック式トレモロ・ユニット(フロイド・ローズ)が搭載されているエレクトリックギターの弦交換方法をご紹介します。
番外編 ロック式トレモロ・ユニット(フロイド・ローズ)搭載エレクトリックギター弦交換方法
実演:高橋恵太 (ギブソン・ジャパン プロダクト・テクニシャン)
使用楽器:Kramer Pacer Vintage(製品詳細に関しては下記ご参照ください)
ロック式トレモロ・ユニット(フロイド・ローズ)とは?
ナットとブリッジ部分で弦をロックするトレモロ・ユニットをロック式トレモロ・ユニットと呼び、その代表的なものがフロイド・ローズです。トレモロ・アームを使用した際のチューニングの狂いを防ぐことができます。
今回は、6弦1本のみの交換方法について、ご紹介していきます。
手順
1. 弦交換に必要な工具について
まずは弦交換に必要な下記の工具をご用意ください。
- 弦:GIBSON エレクトリックギター弦 青色のパッケージ 10-46
- 3.0mmの六角レンチ:ナット・キャップを外したり、ブリッジ部での弦の取付け・取り外しの際に使用します。
- ニッパー:弦を切る時に使用します。最初はなるべく刃の大きいものを用意しましょう。
2. ヘッド側のロック部分(ナット・キャップ)を外す(00:24 – 1:17)
※弦の先端は尖っているので、ケガをしないように十分に注意しましょう。
まずは、ヘッド側のナット部分で弦をロックしているナット・キャップを外していきます。
ペグのつまみを時計回りに回して弦を緩めた後に、ナット・キャップをロックしている3つのネジを、六角レンチを使い、それぞれ反時計回りに回して緩めナット・キャップを外します。外したナット・キャップとネジは、小さいので無くさないように注意しましょう。
注意
外したパーツが『どこに・どの向きで』取り付けられていたか忘れないように、外す前に写真などを撮っておくと良いでしょう。
ナット・キャップを外した後に、ペグ・ポストに巻き付いている弦を外します。その際、弦が絡まっている事があるので、ケガをしないように尖っている部分に気を付けましょう。
3. ブリッジから弦を外す(1:17 – 1:53)
ブリッジで弦をロックしているネジを、六角レンチを反時計回りに回して緩め弦を外します。
4. ブリッジに弦を取り付ける前の準備(1:53 – 2:23)
弦をブリッジに取り付ける前に、弦の先端についているボール・エンドをレンチで切り落とします。
※ボール・エンド根本の弦が一段太くなっている部分が3ミリくらい残る様にします。
注意
一段太くなっている部分が無くても弦を張ることは可能です。
1~3弦の様なプレーン弦の場合は太くなっている部分全てを切り落とします。
5. ブリッジに弦を取り付けロックする(2:23 – 3:01)
ボール・エンドを切り落とした弦の先端をブリッジの穴に差し込み、六角レンチを使ってネジを締めて、外れないように弦をロックします。締め加減の目安としましては、ネジが固くなったところから90度くらい六角レンチを回して締めます。
注意
ネジを締め過ぎるとパーツが破損してしまう場合がありますので、ネジの締め過ぎにご注意下さい。ネジの締め具合に関して不安な場合には購入店にご相談することをお勧めいたします。
〇→弦の差し込み部
6. ペグ・ポストに弦を取り付ける(3:01 – 3:56)
まっすぐ弦を伸ばして、取り付けるペグ・ポストから先2つ分のペグ・ポストのところで弦を折り、印をつけます。そして、該当するペグ・ポストの穴に弦を通し、ペグのつまみを反時計回りに回して弦を巻きつけます。
〇→ナットとペグの間にあるテンションバーの下を通すことを忘れないよう注意しましょう
7. チューニング前の準備(3:56 – 4:20)
チューニングを始める前に、ブリッジのファインチューナーの上部と下部の長さ(ネジ切部分)が同じになる様に揃えます。ファインチューナーとは、ブリッジ側でチューニングの微調整を行う部分です。
ファインチューナー位置修正前画像
ファインチューナー位置修正後画像
8. ペグを回してチューニングをする(4:20 – 4:28)
ペグを回してスタンダードチューニング(6弦=E、5弦=A、4弦=D、3弦=G、2弦=B、1弦=e)に合わせましょう。チューニング方法は、通常のエレキギターと同じですので、第3回をご参照ください。
第3回 ギターをアンプにつなげて音を出そう
注意
ロック式トレモロ・ユニット搭載のギターのチューニングは通常のエレキギターよりもチューニングが合うのに時間がかかりますので、弦のストレッチを行いチューニングが安定するまで何度も確認しましょう。
9. ナット・キャップを取り付ける(4:28 – 5:10)
先ほど取り外したナット・キャップを、元の位置にそれぞれ戻し、六角レンチでしっかりと締めて弦を固定します。
10. ファインチューナーでチュー二ングを微調整(5:10- 5:33)
ここでさらにチューニングが狂っていることがありますので、最後にブリッジのファインチューナーを回し微調整をしながらチューニングを合わせます。
ファインチューナーの可動範囲内でチューニングを合わせきれない場合は、ナット・キャプのネジを緩めてロックを解除した上で、上記7番の『チューニング前の準備』に戻って再度チューニング作業を行って下さい。
11. 余った弦を切る(5:33- 5:43)
最後に、ヘッド側の余分な弦をペグ・ポストの近くで切って弦交換は完了です。
*ギター弦の先端は尖っているため、弦を取り外す時および取り付ける時は、目に入ったり、指などを刺してケガをしない様に、十分に注意して行ってください。なお、弦交換中に発生した損失、損害について、当社では一切責任を負いかねますのでご了承ください。
使用ギター
名称 : Kramer Pacer Vintage
参考価格 : 102,000円
製品ページ(英語) : Kramer Pacer Vintage
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ギブソン・ジャパン ギターテックによる ビギナー向けスタートアップガイド
第3回 ギターをアンプにつなげて音を出そう
ギブソンについて
ギターブランドとして世界でアイコン的な存在であるギブソン・ブランズは、創業から120年以上にわたり、ジャンルを越え、何世代にもわたるミュージシャン達や音楽愛好家のサウンドを形作ってきました。1894年に設立され、テネシー州ナッシュヴィルに本社を置き、モンタナ州ボーズマンにアコースティックギターの工場を持つギブソン・ブランズは、ワールドクラスのクラフツマンシップ、伝説的な音楽パートナーシップ、楽器業界の中でもこれまで他の追随を許さない先進的な製品を生み出してきました。ギブソン・ブランズのポートフォリオには、ナンバーワンギターブランドであるギブソンをはじめ、エピフォン、クレイマー、スタインバーガー、ギブソン・プロオーディオのKRK システムなど、最も愛され、有名な音楽ブランドの多くが含まれています。ギブソン・ブランズは、何世代にもわたって音楽愛好家がギブソン・ブランズによって形作られた音楽を体験し続けることができるように、品質、革新、卓越したサウンドを実現していきます。