ギターの保管と運搬・お取り扱いのご注意

ギターの保管と運搬・お取り扱いのご注意

 

保管と運搬

ファクトリー内は、平均気温22 度、湿度40% ~ 50% が保たれています。製品を保管する際には、同様のコンディションを保つようにしてください。この気温及び湿度基準から前後20%以上の変化は避けてください。気温及び湿度の変化は、比較的短い期間で悪い影響をもたらします。アコースティックギターの場合、高温多湿な保管環境下ではボディ表板の隆起と変形が起こり、低温低湿度の環境下ではボディ表板の沈み込む現象や乾燥による木部割れが起こります。どちらの場合においても、ボディの状態変化に加えてネックの反リが発生し、適正なサウンド・演奏性(弦高値)が保たれていない状態となり、本来の響きが得られない状況となります。湿度の高い季節には保管するハードケース内に除湿剤を入れたリ、乾燥期には楽器用の保湿剤を活用し適正な湿度を保持するなどし、保管環境に十分ご注意ください。

長期の保管の場合は、弦をやや緩めて保管してください。弦を張らない状態での保管はお勧めしません。ギターをお使いにならないときは、専用ハードケースもしくはソフトケースに保管しておくことをお勧めします。不慮の事故、気候や使用環境の急激な変化によるギター損傷のリスクを低減します。ギターをケースにしまう際には、ケースの中に何もないことをご確認ください。ギターをケースに入れて持ち運ぶときは、取っ手の金具に緩みがないか、すべての留め金がきちんと締まっているかどうかを確認し、ケースを持つ際はフタ側を体の方に向けるようにします。これにより、ケースが不意に開いたとしても、体がフタを押さえる形になり、楽器が地面に落ちて損傷するのを防ぐことができます。ソフトケースに入れて持ち運ぶときは、ストラップにほつれがないか、チャックが閉まっているかを確認してください。ケースを落とす、または倒すなどの強い衝撃は、フィニッシュ、ヘッドストック、ボディ・サイド、ボディ・バックに損傷を与えます。

自動車のトランクに長時間保管することは避け、また、ケースの上には何も置かないようにしてください。ケースを水や雪にさらすことは極力避け、万が一濡れてしまった場合は、すぐに柔らかいクロスなどで水分を拭きとります。ケース内部まで濡れてしまった場合、本体を取り出し、ケースを陰干しして、乾いたことを確認してからご使用ください。飛行機、電車、バスなど公共の乗物で移動する場合は、弦を緩めてください。これにより、ネックにかかる弦のテンションを和らげ、振動などによるダメージを軽減できます。ヘッドストック折れの多くは、ギターを倒した際に起こりますが、ケースごと倒した場合にも発生しますので、ケースを立てた状態で置かないでください。ネック部分の損傷は保証対象外となりますので、十分にご注意ください。

 

フィニッシュのメンテナンス(ラッカー塗装の製品)

ギブソン製品は、ニトロセルロース・ラッカーを何層にもコーティングした上で、クラフツマンの手仕上げにより磨き上げられています。ニトロセルロース・ラッカーは、時間の経過による色合いの変化と独特の味わいをお楽しみいただけます。化学繊維、レザー・ストラッ プ、ギター・スタンドに使用されているゴムなどには、変色やラッカーの変質などの原因となる素材があります。フィニッシュの美しさを保つため、次の事項をお守りください。

  • 化学繊維の布で磨かないでください。
  • 使用後はストラップを外してください。
  • ギター・スタンドのゴムをコットンなどの柔らかい布で覆うなどして、直接楽器に触れないようにしてください。
  • 汗はハードウェアとフィニッシュに悪影響を与えます。楽器の使用後は、天然素材の柔らかい布でボディとハードウェアを磨いてから保管してください。フィニッシュの美しさをより長く保つためには、ギブソン製のポリッシュで磨くことをお勧めします。フィニッシュ・チェッキングが入っているギターにはポリッシュは使用せず乾拭きで磨いてください。
  • クリップチューナーのゴム取り付け部分を布で覆うなどして直接楽器に触れさせないようにしてください。

* ラッカー塗装は時間とともに収縮します。これにより塗膜上の平面的仕上がりが変化しますが、ラッカー塗装特有のものであり、異常ではありません。

 

気温の変化(ラッカーのフィニッシュ・チェッキング)

急激な温度や湿度の変化により、“フィニッシュ・チェッキング” と呼ばれる細かなヒビがフィニッシュに入ることがあります。これは木材とラッカーの体積膨張率が異なるために起こります。冬場に外気で冷えた状態のギターを、いきなり室内暖房の暖かい空気に触れさせた場合に容易に生じる現象です。これを避けるには、冬場に屋外から屋内に持ち込んだ時は、いきなりケースのフタを全開にはせず、時間をおいてから少しずつ、ゆっくり開けることをお勧めします。フィニッシュの表面に曇りが広がる場合は、すぐにフタを閉じて、全体が室内の温度になじむのを待ちます。