― 伝説の回帰 ―

ギブソン・カスタムショップ

"THEODORE"(セオドア)

テッド・マッカーティによる
オリジナル・デザインが奇跡のリリース

INTRODUCTION

ギブソンの伝説的な元社長セオドア(テッド)・マッカーティは、レスポール、ES-335、フライングV、エクスプローラー、SG、ファイアーバードなど、今日のエレクトリックギターの象徴となる数多くのモデルの開発に貢献した。

1957年3月18日、開発プロジェクトの絶頂期にテッドは新たなソリッドボディ・ギターのスケッチを描き、サインをしたが、それは今日まで生産されることはなかった。

65年の時を経た2022年3月18日、ギブソン・カスタムショップは、ニュー・プロジェクトとなるギブソン・アーカイブ・コレクションの第一弾として「セオドア」を発表。セオドアは、伝説的なエレクトリックギターのデザインを生み出したテッドの先見の明の証である。

Theodore

ARTIST IMPRESSION

奇跡のリリースが実現した特別なモデルと、選ばれし2名のアーティストの邂逅。試奏と製品インプレッションを動画でお楽しみください。

PRODUCT

※好評につき国内入荷分のナチュラルは完売しました。

ギブソン・アーカイブ・コレクション第一弾 『Theodore(セオドア)』

発売日
2022.3.19
カラー
ナチュラル / チェリー / エボニー

※好評につき国内入荷分のナチュラルは完売しました。

特徴
  • アルダーボディ
  • エクスプローラー型ヘッドストック
  • ダブル・カッタウェイ
  • ウォルナット・センター・ストリップ
  • 軽量かつ優れたウェイト・バランスによるプレイ・フィール
  • 伝統的なP-90ピックアップによる汎用性の高いトーン
付属品
  • ヒストリック・スタイルのブラウン・ハードケース
  • レザーストラップ
  • テッド・マッカ―ティのスケッチのプリント
  • 1957年風のカタログ・プリント
  • 認定書

以前ギブソン・カスタムショップで製作されていたコレクター・チョイス・シリーズに代わって、今年2022年にアーカイブ・コレクションがスタートした。前者が実存する個体を再現したリイシュー・モデルだったのに対してアーカイブ・コレクションは、過去に企画、構想がありながら製品化されなかったモデルを現在の技術で製作する。ギブソンのエンジニアリング・アーカイブと呼ばれる書庫には、過去の様々なプロトタイプの設計図やアイディア・スケッチが残されており、シリーズ第一弾となる「セオドア」は、ギブソンの黄金期を支えた伝説の人物/テッド・マッカーティが残したメモがベースとなっている。

1950-1965年にかけてギブソンの社長を努めたセオドア(テッド)・マッカーティは、1948年にピアノで知られるウーリッツァー社からギブソンの副社長へと迎えられ、1965年末に友人だったポール・ビグスビーのヴィブラート事業を引き継ぐ形で同社を去った。様々なアイディアを実現していったテッドの在籍時には、ギブソン初のソリッド・ギターであるレスポール・モデルを筆頭に、エレクトリック・アーチトップの定番ES-175、ES-335等のセミ・アコースティック・ギター、そしてフライング V、エクスプローラー、SG、ファイアーバードといったの先進的なモデルからジョニー・スミス、バードランド、トリニ・ロペス等のミュージシャン・モデル、更にはエレクトリック・ベースやダブル・ネック・ギターに至る多種多様なモデルが生み出された。その結果、テッド時代にギブソンの売上は10倍以上に拡大した。

50年代半ばのギブソン・ソリッド・ギターは、伝統的なアーチトップを弾くジャズ・ギタリストを想定して作られたレスポール・ファミリーのみだった。それに対して、ロックンロール・ブームの中で生まれた新しいファンへ向けたモデルの必要性を感じていたテッドは、ウォルター・フラーやセス・ラバーといったエンジニアを率いて最新のアイディアを取り入れたモダニスティック・ギターの開発に取り組んだ。その結果、1958年に生み出されたのが自らもデザインに加わったフライング V、そしてフューチュラである。(1958年1月に打ち上げられたアメリカ初の人工衛星/エクスプローラー1号が大きな話題となったことを受けて、発売されたギターにはエクスプローラーの名が採用された)テッドは「1957年前半に様々なアイディアを出し合ってギターをデザインし、色違いを含めた12本あまりのマーヴェリック(テスト・ギター)を制作。それらを親会社のあるシカゴへと持ち込み、7月のショウで反応の良かったフライング Vとフューチュラを発売することになった」と語っている。

フライング Vやエクスプローラーのデザイン・パテントが出願されたのが1957年6月なので、今回の「セオドア」の原案となったテッドのスケッチが書かれた同年3月18日は、まさに開発の時期だったのだろう。そのスケッチには幾つもの独創的なヘッドストックやロゴ、そしてギターのデザインが描かれている。ギブソンからダブルカッタウェイ・モデルが登場したのは1958年初頭のES-335、同年夏のレスポール・スペシャルだったことを考えると、先行するこの「セオドア」の原案のスケッチは興味深い。そして、シンメトリー・シェイプの深いカッタウェイ、丸みを帯びたフラット・ボディ・シェイプや1 1/2インチの厚み、このギターは1958年半ばにダブル・カッタウェイ・シェイプへと進化するレスポール・ジュニアやスペシャル、そして1961年に姿を現すSGモデルの原型ともいえる。また、1954年に発売されたエレクトリック・マンドリンのフローレンティーン(EM-200)には、既に先端の尖った2ポイント・ダブル・カッタウェイ・シェイプが使われていたので、このデザインをギターへと反映させたのかもしれない。ボディ材としてアルダーが指定されていることもユニークで、明るいナチュラル仕上げを物色していた当時のギブソンでは、メイプル材やスティール・ギターに使われていたオーク、アーチトップのプライウッドに使われていたポプラ、そしてアルダー、ホワイト・リンバウッド(コリーナ)が検討された。

ギブソン・アーカイブ・コレクションの第一弾となる「セオドア」は、テッドのスケッチを反映したデザインを基にカスタムショップのエンジニアリング・チームによってギターとしての整合性や実用性が確保され、さらに当時のギブソン・ギターに見られるスペックや特徴を反映させたものになっている。エクスプローラー型のヘッドストックを持つネックはローズウッド/マホガニー製で、ブラックに仕上げられたヘッドストック・フェイスにはパール・ロゴが入ったホリーウッド・プレートが取り付けられ、ファットな57年タイプのチャンキー・C グリップへと加工されている。深いダブル・カッタウェイ・シェイプの1 1/2インチ厚フラット・ボディは、センター部分にウォルナット・ストリップが挟み込まれたアルダーというテッド・メモを反映した唯一無比のもの。滑らかな弾き心地を実現するために「可能な限り大きな半径の丸みを」という指定に基づいて右肘の当たるエッジからサイド部分は滑らかな曲面で繋がれている一方で、深いカッタウェイや鋭いホーン部分を含めた他の部分はエッジを尖らせるといった手作業ならではの複雑な形状に仕上げられている。外周全体を丸く加工したデザインは、その後のダブル・カッタウェイのレスポール・ジュニア/スペシャル、そしてエピフォン・ソリッド・ギターへと受け継がれてゆくことになる。P-90ピックアップを含めたエレクトロニクスは当時のレスポール・スペシャルと共通のものが組み込まれていて、セレクタ位置、そしてピックガード形状にはギターとしての実用性と当時のギブソンに則したアレンジが加えられている。

まるで倉庫の片隅から発見されたような少し艶を抑えたV.O.S.フィニッシュが施されたカラーはナチュラル、チェリー、エボニーの3バリエーション。トータルで318本が製作される。ギターにはオリジナルの認定書に加えて、このモデルの背景を紡ぐために、当時のギブソン・カタログに掲載されたフライング Vの反対側のページを模して作られたセオドアのバーチャル復刻カタログが付属する。1958年に発売されたフライング V、エクスプローラーと全く同じデザインで作られた専用レプリカ・ケースに収められた姿は、パラレル・ワールドで製作されたギブソン・ギターを想起させている。

文:關野淳_大手楽器店、リペア・ショップを経て、現在は楽器誌、音楽誌で豊富な知見に基づく執筆を行うヴィンテージ・エキスパート&ライター。

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