【連載】Gibson CustomとHistoric Reissueの軌跡 (第5回)

栗田隆志 | 2020.06.05 特集記事
第五回
40th ANNIVERSARY 1959 LES PAUL REISSUEとAGED

 

トム・マーフィーがギブソンを去った後、黙々と研究、開発を重ねながら、ヒストリック・リイシューのブラッシュアップに並々ならぬ情熱を注いできたキーマン、エドウィン・ウィルソンの監修により、1959年から40年を数える1999年に世に放たれた40th ANNIVERSARY 1959 LES PAUL REISSUEは、それまでやり残していた細部を、さらにつきつめることで再現度を高めました。ネック・ジョイント、ブリッジ、コントロールをはじめとした位置関係のリファインにより一新されたスタイル、取り扱いディーラーと生産数量が限定されていたこと、わずかに生産されたKillertopの存在、豪華な認定書に加えて、革新的であったのはギブソンと再びタッグを組んだトム・マーフィーによるエイジド(新品でありながら、ヴィンテージ・ギターに見られる塗装のクラックや、演奏によってすり減った部分の質感、傷などを手仕上げで再現)がラインナップに加わったことでした。” 40th ANNIVERSARY 1959 LES PAUL REISSUEは、バージョンアップの成功例と言える高い商品力で大ヒットとなり、今でも中古市場では根強い人気のモデルとなっています。

少し時を遡りますが、1994年11月にギブソンを離れたマーフィーは、地元イリノイに戻り、「これからはリペアとレストアに専念」とGUITAR PRESERVATIONを立ち上げましたが、そこには買ったばかりのヒストリック・リイシューを持ち込み、好みのカラーへのリペイントを希望するユーザーが集まってきました。この予想外の需要に加えて、1997年に他メーカーにより商品化された、はじめからヴィンテージ・ギター風に加工された製品の登場により、新たな市場の存在を確信、それを実証するために、自らのヒストリック・リイシューを好みのバーストでリペイント、さらにヴィンテージ・ギターの修理の際に部分塗装した箇所の不自然さを解消するために開発したテクニック、エイジドを施した試作品をヴィンテージ・ギターショーに展示してみたところ、本人の予想をはるかに超えた大反響となり、ディーラー、ユーザーから「同じようにしてほしい」というオーダーが殺到しました。ここが分水嶺となり本人の生活も一変、リペイントとエイジングの日々が始まります。一方、ギブソンとしてもこの動向を見逃すはずもなく、オフィシャルによる製品化を打診、40th ANNIVERSARY 1959 LES PAUL REISSUEリリースに繋がるのでした。またしても潜在を顕在化したマーフィーの先見の明の一例です。

 

40th ANNIVERSARY 1959 LES PAUL REISSUE

 

バリエーション

LP59 Plaintop / LP59 Figuredtop / LP59 Flametop / LP59 Figuredtop-Aged / LP59 Flametop Aged

1999仕様変更
  • ヘッドストック、ボディ、トップカーヴを中心とした外形全体のリファイン
  • ボディ・トップ・バインディングのスリム化
  • ネックセット位置変更(付随してブリッジ、テイルピース、コントロールノブ位置変更)
  • サンバーストカラーのリファイン
  • オールド・スタイル・ナイトロセルロース・シンフィニッシュ
  • オールドスタイル・チェリーフィラー・バック

「ギターは色で音が違う」と語るプロギタリストは少なくありません。確かにレス・ポールに限定しても、サンバーストとゴールドトップでは塗装のプロセスが全く異なりますし、塗料に含まれる成分、塗布量、ラッカーの硬度など、すべてが音に影響すると言われれば、そう言えなくもありません。

ギブソン初のオフィシャル・オプションとなった、40th ANNIVERSARY 1959 LES PAUL REISSUEのエイジドを弾いたギタリスト達の間で、まことしやかに囁かれたのが「エイジドのレス・ポールは見た目だけでなく音も良い」という噂です。これにはマーフィーも返答に窮していました。「あなたがエイジドしたギターは音も格別に良い!」と面と向かって言われた際には、「自分が手を入れたギターの音が良いと言ってもらえるのは嬉しいのですが・・・」と答えはしたものの、「音に関することには関わっていないのですが・・・」とは言いにくかったようです。1959 Les Paulというモデル名には、多くのギタリストが畏怖の念を抱く重みがありますし、さらにエイジドのルックスはヴィンテージと見間違うほどに、そのオーラを醸し出していたので、初めて手にしたギタリスト達を高揚させたことは想像に難くありません。が、当人曰く、「新品のギターは傷がついてしまった時に、がっかりしたり、売る時に価値が落ちるとか気にする人がいるかもしれませんが、エイジドなら最初からそんなことを気にしないで楽しくプレイしてもらえますから」とのことです。

40th ANNIVERSARY 1959 LES PAUL REISSUEとエイジドの商業的成功により、カスタム・ショップは勢いを増し、翌年にはエイジド仕様のゴールドトップもリリース、2001年以降も1959 LES PAUL REISSUEはバージョンアップが繰り返されて、年々その精度を高めていきました。

2001
  • アルミテイルピース採用
  • 指板のバインディングをスリム化
2002
  • チューナーホール位置変更
  • 指板インレイ変更
  • ノンワイヤーABR-1採用(後年~‘03年に再びワイアード)
  • 薄型スイッチワッシャー、ジャックプレート採用
  • CTSポット採用、コンデンサー変更
  • バーストバッカー・ピックアップType2 & Type3
2003
  • ブラジリアン・ローズウッド指板仕様(同年上期で生産完了)
  • ネック形状リファイン
  • バンブルビー・キャパシター採用
  • バーストバッカー・ピックアップType1 & Type2
  • トラスロッドのルーティング変更によるトラスロッドカバー位置変更

注)仕様変更にはトランジションがありますので、同年度の生産でも生産時期により上記と仕様が異なる場合があります。

 

40th 1959 LES PAUL REISSUE リーフレット

 

AGED

 

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