ヴァリトーンスイッチを活用しよう!

Michael Leonard | 2019.07.10 製品記事

今回はGibson.comによるアーカイヴ記事(2017年4月当時)をお届けします。

もし皆様がギブソンES-345やES-355のファンであるのならば、ギターに取り付けられたノブの存在、つまりヴァリトーンスイッチの存在はご存知でしょう。

その登場から約60年もの歳月が経過しているのにもかかわらず、ヴァリトーンスイッチがどのように作用しているのかについて、多くの誤解があるようです。ネット上のギターフォーラムのサイトをご覧になれば、“トーンを駄目にする”、“サスティンを殺す”、“ふくよかなジャズトーンを台無しにする”といったネガティヴな見出しが目に飛び込んでくるのではないでしょうか。果たして、本当にそうなのでしょうか? そんな都市伝説の偽りを証明してみせるのは容易です。しかしながら先ずは、ヴァリトーンとは実際何なのかについて理解することから始めたほうが良さそうです。

ヴァリトーンとは?

所謂“ポット”のように回転するロータリー型のデザインではありますが、ギブソンはそれをヴァリトーン“スイッチ”と呼んでいます。チキンへッド・シェイプのノブの下で、スイッチの基板にハンダづけされた個別の6種類のキャパシター(コンデンサー)を伴うノッチフィルターが装備されています。ポジション1はトゥルーバイパスで、ピックアップからの信号は直にヴォリュームポットへ流れます。その信号は抵抗やコンデンサーを通りません。その他の5種類のポジションは、予め設定された特定の周波数帯域を取り除くように作用します。

ですので、あらゆるギターに搭載されているノーマルなパッシヴのトーンポットとは異なり、ヴァリトーンはローパス・フィルターとしては作用せず、ノッチフィルターとして作用するのです。ミッドレンジから特定の帯域を取り除くのです。結果、完全にバイパスされたトーンよりも、ますます鼻にかかったようなトーンのヴァリエーションが得られるのです。もし、科学にご興味がおありでしたら原理はこういうことです。

  • 1.5H固定インダクターがリアピックアップの下側にマウントされており、ノッチフィルターの作用する帯域を特定します。
  • ヴァリトーンスイッチのポジション1はヴァリトーン回路を通らずバイパスです。
  • ポジション2-6は伝統的に、1000pF3000pF0.01μF0.03μF0.22μFのキャパシターで設定されています。
  • それぞれのキャパシターは10Mの抵抗と対をなし、各ポジションから各ポジションへスイッチを動かす際のポップ音(ノイズ)を除去します。

ヴァリトーンスイッチのどのポジションについても今まで呼び名が存在しなかったため、おそらくユーザーの間では混乱があるのでしょう。“squishy(ビシャビシャした音)”、“underwater(水中のような音)”、 “transistor radio(トランジスタラジオのような音)”などのように様々な表現で多くのプレイヤーが形容するのもご納得いただけるでしょう。

各ポジションごとで取り除かれる正確な周波数帯域については、製造時期によって一定ではありません。70年代に製造されたモデルでは明らかに異なったサウンドを生むサーキットを搭載していたと主張する方が多いです。しかしながら、根本的な考え方には変わりはありません。ヴァリトーンスイッチにはカットすべき周波数帯域がプリセットされており、プレイヤーはスイッチ操作だけで得たいサウンドが得られるのです。

ヴァリトーンスイッチにまつわる誤解

ヴァリトーンスイッチの話が出るとき、“compression(圧縮された、コンプ感のある)”という表現で形容される方が多いのですが、ヴァリトーン回路はコンプレッサーではありません。ましてや、単なるトーンノブでも(実際に書き込みを見て卒倒したのですが)ワウペダルの一種でもありません。

  • ポジション1では、ヴァリトーンスイッチはトゥルーバイパス(もしくは限りなくそれに近い状態)です。ですからトーンを台無しになんてしません。
  • ポジション2-6について実際は、ある特定の周波数帯域を抜きだしているのです。もしそれにより最悪のトーンになってしまうのであれば、そこがまさにポイントといえます。

考えてみてください。仮にそうだとしても、依然として2ヴォリューム2トーンのコントロールを駆使できる状況にあるでしょう。加えて、もちろん3ウェイのピックアップセレクターだってあります。ヴァリトーン回路があることにより、必然的に、ヴァリトーンスイッチが2 から6のポジションの時にヴォリュームの変化を感じ取ることになるでしょう。しかしながら、だからこそ単体のヴォリュームコントロールノブがあるのです。ヴォリュームノブを始終フルテンにする必要はないのです。

どうやらヴァリトーンは永遠に誤解される運命にあるようです。特に申し上げられる事は、B.B. KingやFreddie Kingで聴くことの出来るギタートーンには、ヴァリトーンスイッチを搭載したESモデルが不可欠だということです。ヴァリトーンを搭載していないES-335モデルをプレイするギタリストも多く存在しますが、他の追随を許さないB.B.による“The Thrill Is Gone”のサウンドを出すことはできないでしょう。そういったプレイヤー達はヴァリトーンを搭載した345や355をプレイしたことはあるのでしょうか? “ありません”と彼らは答えこう続けるのでしょうか。“ヴァリトーンはサウンドを台無しにしちゃうよ...” もう訳がわかりませんね。敢えて言うとこういうことです。B.B. Kingはヴァリトーンスイッチを“the magic switch(魔法のスイッチ)”と呼んでいたのですよ。

ヴァリトーンスイッチは全てのギタリストにフィットするとは限らないという点について、それは真理です。ヴァリトーンはヴィンテージ期ギブソンに搭載されていた仕様の特徴なのです。ですが、ヴァリトーン搭載のES-345や355を試してみる価値は間違いなくあります。ヴァリトーン搭載のモデルの例は下記となります。

1964 Gibson ES-345 Mono Varitone (in white)
1964 ES-345 Olive Drab Green Bigsby Mono Varitone (Drab olive green)
B.B. King Lucille(ニュース記事はこちら
Freddie King 1960 ES-345 Sixties Cherry VOS(特集記事はこちら
Shinichi Ubukata ES-355 Vintage Ebony VOS(特集記事はこちら

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