ギブソン・ギタリスト偉人伝 : フレディ・キング

Michael Leonard| | 2018.12.25 特集記事

フレディ・キングは間違いなくブルーズギターの偉人です。しかし時に、B.B.やAlbertといった名だたる名手達の影に隠れてしまうこともあります。ですからこの機会に、まだ彼の音楽をご存知ない方に是非フレディの音楽に触れていただきたいのです。

 

 

フレディ・キングとは?

エリック・クラプトン、デュアン・オールマン、ジェフ・ベック、テキサスブルーズの名手であるスティーヴィー・レイ・ヴォーンなどその他大勢のギタリストに影響を与えた偉人です。フレディ・キングのギタースタイルはブルーズとロックを跨いだものであり、私達が今日当たり前と考えるようなブルーズロックのあらゆる色彩や表現の道を切り開いた人物です。つまり、フレディ・キングは(名前のとおり)王者(キング)だったのです。

フレディは大柄でした。6フィート(180cm)以上の身長と250パウンド(110Kg以上)の体躯でした。そして見た目が派手でした。彼は“the Texas Cannonball(テキサスの弾丸)”として知られ、演奏スタイルはいつもハイテンポで疾風怒涛のごとく音符を紡ぎました。彼はB.B. Kingよりも9歳年下で、アルバート・キングよりも11歳若かったのですが、彼は単なるぽっと出の成り上がりではなかったのです。不思議なことですが、どういうわけか、彼はB.B.やアルバートと滅多に同等と見なされることはありません。

彼はFrederick Christian(出生名はフレデリック・クリスチャン)の名でテキサスのギルマーで生を受けました。(彼の母の結婚前の姓はキングでした)彼が10代の頃、家族でシカゴに移住しました。そこでの思い出を彼はこう語っています。“自分でギターやアンプを購入するのに十分なだけ工場で長時間労働に従事していたんだ”

闇夜に紛れて、フレディはシカゴの最高のブルーズマン達の仲間に入りました。ハウリン・ウルフは彼にこう伝えました。“よう坊や!主なる神のお導きで君はこうしてブルーズがプレイできるんだ” これは野心的なエレクトリックブルーズマンにとってはよくある話です。50年代のシカゴにはこういった多くのブルーズマンが存在したのです。

チェス・レコードは当初、フレディの才能を認めませんでした。彼らが言うにはフレディのサウンドはB.B Kingに似すぎているというものでした。しかし、フェデラル・レコーズとの契約を掴むと、若かりしキングは頭角を現しだしました。特にイギリスのブルーズプレイヤー達はフレディのプレイに耳をそばだてていました。ジョン・メイオールはフレディの“Have You Ever Loved A Woman”がお気に入りでした。“全ての要素を兼ね備えた名手だね” と、ジョンはフレディを評しこう続けました。“フレディは聴衆の気持ちにストレートに働きかける速弾きの定番フレーズを持っていたね。彼の腕前はそれは凄まじかったぜ”

1960年代後半までにジョン・メイオールのブルース・ブレイカーズで神格化されたステータスを獲得し、クリームでスターダムに上り詰めたエリック・クラプトン。彼もフレディ・キングを引き合いに出し、リック(常套句的なフレーズ)を考え出す際の源泉(元ネタ)であることを認めています。“フレディ・キングを聴くまでは白人のロックンローラーの演奏に関心があったんだ” と、クラプトンは回想しこう続けます。“フレディを聴いてみたら、とんでもなく最高だったんだ”

 

 

シグニチャーサウンド

フレディ・キングは優れた自作のインスト曲で高い評価を受けており、それらは“Hideaway”、“San-Ho-Zay”、“The Stumble”、“The Sad Nite Owl”、“Sen-Sa-Shun”、“Side Tracked”などの楽曲です。簡単に言えば、彼は他のブルーズマン達以上に優れたコンポーザー(作曲者)だったのです。ごくありふれた12小節のブルーズ形式をベースに洗練されたメロディを紡ぎだすことができたのです。彼は単純に音数を詰め込んだり常套句のフレーズを弾きまくるようなことはしませんでした。フレディ・キングのヒット曲には、フックがあり、メロディがあり、サビがあり、平凡な曲とは異なる展開がありました。

彼はメタルピックとプラスティックのサムピックを併用するスタイルで有名でした。フレディによると、ギターを弾き始めた頃のギターヒーローだったライトニン・ホプキンスを聴くことからフィンガーピッキング・スタイルを習得し、メタルピックのアイデアはマディ・ウォーターズやエディー・テイラーから得ていたようです。この組み合わせはアタック感に優れ、彼の代名詞とも言える速弾きのパッセージをいとも容易に効率よく弾ききるのに適していました。

現代最高のスライドプレイヤーであるデレク・トラックスはこう指摘しています。“スチール弦にメタルのピックだから忘れようにも忘れられないほどの強力なサウンドになるんだ。但しそれは最高の技術があってのことだよ。フレディがそうしていたようにね”

 キングのビッグなトーンは、彼のギターの設定を考えると注目に値するものでした。高音弦側の3本の弦のゲージは.010 .011 .012でした。B弦(2弦)としても、特にG弦(3弦)としてもかなり細いゲージでした。一方、巻き弦の低音弦側は通常のライト・ミディアム・ゲージでした。

キングの生涯はまるで生き急いだようであり、彼は若くして亡くなりました。1976年、享年42歳でこの世を去りました。フレディ・キングからギター演奏の重要な点について、エリック・クラプトンへ送られた遺言は以下のとおりです。“フレディは私が知ってなくてはならない事すべてについて教えてくれたんだ....どんな時に我慢して弾くのを踏みとどまるべきか踏みとどまらないべきか、どんな時に手のうちを見せるべきか見せないべきかだよ” と、1977年にクラプトンは語りこう続けました。“フレディから教わった一番重要なこと、それは、ギターと弾き手が愛し合ってひとつになることさ”

 

 

フレディ・キングとギブソン

フレディ・キングの活動初期の写真では、50年代中期のP-90ピックアップ搭載のゴールドトップ・レスポールを弾く姿が収められています。当時彼は、そのギターをギブソンGA-40アンプとともに使用していました。エリック・クラプトンは自身初となるギブソン・レスポールを購入し、ブルース・ブレイカーズのアルバム“Beano”にて使用しました。それはエリックが、フレディのアルバムLet's Hide Away and Dance Awayのジャケット写真でゴールドトップを持つフレディを見た後のことでした。

暫くすると、フレディ・キングは彼のトレードマークとなるGibson ES-345モデルをメインギターとするようになり、ギターのヴォリュームは上がりました。彼のギブソントーンは過度に歪んだトーンではなかったのですが、純粋にラウドなヴォリューム感でした。キングのサウンドの一端を追体験するためには、ブリッジピックアップに切り替えてみてください。

キングのギターと同じギターが欲しいですって?コチラのリンクにて、Gibson Freddie King 1960 ES-345 Sixties Cherry VOS モデルをご確認いただけます。

ギブソン・メンフィスは1960年代当時の仕様の詳細を確実に突き止めています。正確な“ミッキーマウス・イヤー”のカッタウェイ形状、PAFに迫るトーンを持つMHSハムバッカーなどです。当時の仕様に忠実なハードケースを付属し、リミテッドランでの限定リリースとなります。

 

 

試聴必須の楽曲リスト

往年のブルーズ・レジェンド達と同様、キングの作品を知るにはベスト盤やコンピレーション盤が役立ちます。必要最低限として、18曲入りのThe Ultimate Collectionを購入してみましょう。

もしオリジナルアルバムのほうがよろしければ、1969年のFreddie King Is a Blues Masterや1970年のMy Feeling For the Bluesが必聴盤です。彼のキャリア後期以降となりますが、それらのアルバムは、70年代に巨大な潮流となったブルーズロックに極めて重要な影響を及ぼしました。1971年、フレディ版の“Going Down”はブルーズロックの大定番曲となり、1年後にはジェフ・ベック・グループにより忠実に再録されました。ブルーズロックのフィールドでは今も変わらず定番曲です。

 

 

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