The Art of Strings vol. 7
【Guitar , Compose , Arrange & Produce 】 1961年12月25日生まれ 大分県出身 84年頃から「REBECCA」の全てのREC及びTOURに参加。 故ロバート・パーマーやニール・ヤング&クレイジーホースら 海外アーティスト、ミュージシャンとの交流も深く、彼らからインスパイアされた 既成概念にとらわれない活動を続けている {プロデューサー、アレンジャーとして} 八神純子、ONE OK ROCK、黒夢、BUBBLGUM CRISIS(アニメ)他多数 {レコーディング参加アーティスト} 尾崎亜美、梶浦由紀、八神純子、伊藤蘭、福山雅治、矢沢永吉、広瀬香美、 TM Revolution、浜崎あゆみ、工藤静香、MAX、TRF、知念里奈、他多数 {ライブ参加アーティスト} Rebecca(’85-)、ASKA、尾崎亜美、梶浦由紀、八神純子、伊藤蘭、 Crystal Kay、渡辺美里、宇都宮隆、ロバート・パーマー、他多数
是永巧一が愛用するギブソンを紹介
2024/1/11 at BS&T studioInterviewer: Tak Kurita Gibson Brands JapanSpecial Thanks: Jun Sekino
栗田隆志 Gibson Brands Japan
是永さんの最初の印象は「なんて自然体の人なんだろう」でした。喜び、感動、不安、落ち込みを、くったくなく皆の前であらわにする。自らをアピールしなければいけない芸事の世界にいながら、なりたい、こうあるべきという自分を演じている感じがないのです。 初めての機材でも、あっという間にリファレンスとなる音を決めてしまい、収録の合間には好きな音楽と機材のことをずっと話し続けている。そして収録が終わる頃には、みんな是永さんのことを好きになっている。 この動画シリーズの収録はカメラの台数も多く、かつ至近距離から撮られるシーンも多いため、百戦錬磨のプロとはいえ、ある程度は緊張される方も多いのですが、業界のファーストコールであり、梶浦由記さんの武道館公演のステージでは2日間で60曲を弾ききっている、“ザ・プロフェッショナル”是永巧一が、収録の後半で放った「はやく録り終えて楽になりたい・・・」という一言。 皆の前でその不安を臆さず言葉にする、こんなことを自然体で言えることが、実は強さのカウンターなのかもしれません。 収録後、是永さんにメッセージを送りました。「このTAOSの動画制作に関わるチームは動画コンテンツではなく、作品をつくるという気概で取り組んでいます。作品とコンテンツの違いは、作り手の込めた想いが感じられるかどうかだと思います」と。それに対して返ってきたのが「そのチームの一員として、自らのターンをやらせていただきました」という一言。これこそが是永さんの仕事の流儀であり、レベッカをはじめ、いっしょに仕事をした人たち皆との信頼と共感を生み出し、そこから人の輪が広がっていくのだと思いました。
1952年に発売されたレスポール・モデルにマイナーチェンジが加えられたのは1953-1954年にかけてだった。より弾きやすくするためのネック・セット角度の調整やチューニングを安定させるバー・ブリッジ/テイルピースの採用は、同時に豊かで力強いトーンをもたらすことになった。 ギターの顔となるヘッドストックには、薄いホリーウッド板にインレイとマスキングを組み合わせたホワイト・パール製のギブソン・ロゴがセットされているが、その位置とレスポール・モデルのシルクスクリーンが後年のモデルよりもナット側に下がっているのがゴールドトップ期の特徴。ヘッドストックは、ナット付近の厚みに対して先端を1mmほど薄く加工したテーパード仕様になっている。今回、是永が「Hello」で演奏した日本市場向けカスタム・オーダーの1954モデルは、ギタリストに人気の高い1959年スタイルのグリップ、そして同年から採用されたワイド・フレット仕様としている。ネックとボディのセット角度は1952年の発売当初から1950年代末のサンバースト期に向かって徐々に深くなってゆくが、このギターでは安定感のある弾き心地とテンション感、そして弦とピックアップとの適正な距離を実現するために4°±15に設定されている。 ゴールド・トップ・フィニッシュは、レス・ポール氏の提案によって誕生した。レスは入院している友人にプレゼントしたいと、全体をゴールドに仕上げたギターをリクエストした。レスポール・モデルの試作品はサンバースト仕上げだったが、特別に調合されたゴールド仕上げのギターはとてもクールだったことに加えて、メイプルとマホガニーを使ったレイヤード構造を隠すことができた。ギブソンではこの仕上げを市販モデルにも採用、1952年に発売されたレスポールはボディ・トップがゴールド仕上げ、ボディ・バックとネックはブラウンで仕上げられた。年代に関わらずギター全体をゴールドで仕上げたオール・ゴールド・カラーのレスポールは少数ながら確認されている。(レスポールと同じ1952年にES-175Dをオール・ゴールドに仕上げたES-295が発売されたことも興味深い)ゴールド・カラーは1958年半ばまでのレスポール・モデルに採用されていた唯一のフィニッシュだった。ギブソンのゴールド・カラーは、特別なブラスの金属粉を使った専用塗料で、メタルパウダーの乱反射によって深みのある個性的な色合いが生み出される。そして、鮮やかなゴールドはやがて金属成分が酸化することで、グリーンがかった沈んだ色合いへと変化してゆく。今回のギターは、ウルトラ・ライト・エイジドが施されており、ラッカー塗料ならではのウェザー・チェックと呼ばれるひび割れが加わったボディ・トップからは円熟した存在感が漂よってくる。 ブリッジに巻きつけるように弦を張ることからラップ・アラウンド・ブリッジと呼ばれるバー型ブリッジが登場したのは1953年。それ以前のトラピーズ・ブリッジはレス・ポール本人が開発したものだったが、プレイ中にブリッジ自体が動いてしまうことがあった。それを改良したバー・ブリッジはボディ深く打ち込まれたアンカーを介して取り付けられた太い2本のスティール製スダッド・スクリューにはめ込まれていて、ブリッジ自体は軽量のダイキャスト・アルミニウム製。この組み合わせによるエッジとサステインの効いたトーンはレスポールの人気を決定づけると共に、現在でもこのブリッジに拘るギタリストは多い。更に進化したチューン "O" マティック・ブリッジが1955年に登場した後も、ラップ・アラウンド・ブリッジはスペシャルやジュニア、一部のファイアーバード等に1960年代末まで使用されてゆくことになる。今回のギターではオリジナル同様に丸みを帯びた形状がダイキャスト・アルミニウムで再現されていて、取り付け位置だけは現在主流の弦ゲージに合わせて、わずかにアジャストされている。
1950年代のレスポールの最終型となるのが1958年半ばから1960年末まで製造されたサンバースト・スタンダードである。チューン "O" マティック・ブリッジ、ハムバッキング・ピックアップという最新のハードウェアに加えて、1958年に採用されたチェリー・サンバースト・フィニッシュ、そして、それに合わせてグレードアップされたセンター合わせのフレイム・メイプル材をボディ・トップに使用したことで、究極のクラシック・ソリッド・ギターが誕生した。実質2年半の間に約1,500本ほど生産されたサンバースト・レスポールは、ブルース・ブーム/ドライヴ・サウンドと共に、その後のロック・ギターを決定づけることになった。 1952年にギブソン初のソリッド・ギターとして発売されたレスポール・モデルは、年を追うごとにハードウェア類に手が加えられ、1955年にはチューン "O" マティック・ブリッジ/ストップ・バーテイルピースという機能性とトーン・バランスに優れたものへと進化した。戦後のギブソン・サウンドを支えてきたシングルコイルのP-90ピックアップから、セス・ラバーによって新しく開発されたダブルコイル構造のハムバッキング・ピックアップへと移行したのは1957年半ば。ピックアップ・ベース・プレートの裏側に“PATENT APPLIED FOR”と書かれたデカールが貼られた初期型ハムバッカーは1963年まで出荷されたが、製造工程上、または製造時期による個体差が大きく、それ故さまざまな伝説を生み出してきた。今回のギターにはカスタム・オーダー・オプションとして用意された、豊かな表情が魅力のアンダー・ワウンド仕様のカスタムバッカーが組み込まれている。 レス・ポール氏のリクエストによって作られたゴールド・フィニッシュは、レスポール・モデルのアイコンとして人気を博した。その一方で、ソリッド・ギターの市場が拡大するに伴い、アーチトップ譲りのサンバーストに仕上げられたソリッド・ギターが他社によって作られるようにもなっていった。1958年はギブソンにっとってエポックメイキングな年である。深いダブル・カッタウェイとセミ・アコースティック構造を備えたES-335の発売、そしてソリッド・ギターのレスポール・ジュニアもそれに倣ったダブル・カッタウェイ・シェイプとなり、その後のブランド・カラーともいうべきチェリー・レッド・フィニッシュが開発された。一方でレスポールはアーチトップ形状をダブルカッタウェイ・スタイルへと落とし込むことが難しかったこともあり、シェイプの変更は見送られた。そのかわりに、ボディ・バックとネックはチェリー・レッド、ボディのトップ側はバックに合わせたチェリー・サンバースト仕上げとなり、同時にトップに使われているメイプルが中央で木目を合わせたフレイム材へとグレードアップされたのである。ゴールドからチェリー・サンバーストへと仕様変更されたレスポール・スタンダードの本体価格は247.5ドルのままに据え置かれたが、これは同じ価格帯で競っていた競合他社製のギターを意識したためかもしれない。1958年に初めて採用されたチェリー・サンバーストは、ショップの店頭で色が抜け始めるほど退色しやすかったことが確認されたため、1960年後半からはややダークで退色しにくいものへと変更された。それ以前のものは、現在では驚くほど多様な色合いへと経年変化している。チェリーに含まれる赤、青、黄、黒の中でも特に赤色の退色は早く、その結果、チェリー・サンバーストはブラウン系のサンバーストへと推移してゆく。その後、やや緑がかったブラウンに変化することも多い。 サンバースト期のレスポールはスタンダードとカスタムがシングル・カッタウェイ、そして下位機種のスペシャルとジュニアがダブル・カッタウェイという、価格と機能性が逆転していた時期でもある。競合を意識して水面下では、ダブル・カッタウェイ、軽量化、そしてヴィブラートを備えたニュー・スタイルの開発が進められていたのだろう。満を持する形で、フルモデルチェンジされたSGスタイルのギターが登場したのは1961年初頭だった。その背景にあるのは、人気の下降ではなく(サンバースト・レスポールの中古価格はわずか数年の間に高騰した)、この時期ギブソンが大量のバックオーダーを抱えていたことがあげられる。フラットなボディ形状、チェリー単色での仕上げという生産効率に優れたSGへと進化したことで、新しいモデルの出荷台数は2倍以上に跳ね上がった。
文:關野淳大手楽器店、リペア・ショップを経て、現在は楽器誌、音楽誌で豊富な知見に基づく執筆を行うヴィンテージ・エキスパート&ライター。
THE COLLECTIONとはTAOS (The Art of Strings)に登場するギタリストが所有、愛用するギブソンを紹介するシリーズです。
希少性が高く入手困難なヴィンテージ・ギターの塗装の経年変化と弾き心地を忠実に新製品上で再現する特殊技術、エイジング。これを施されたギブソン・ギターの最高峰『ギブソン・カスタムショップ・マーフィー・ラボ』を、当代随一のギタリストが心行くまでプレイする動画シリーズ。