THE COLLECTION: 是永巧一
THE COLLECTIONとはTAOS (The Art of Strings) に登場するギタリストが所有、愛用するギブソンを紹介するシリーズです。
● 1974 Les Paul Custom / 20th Anniversary #503066
「レベッカの解散コンサートから使い始めた」と是永が語るギターは1974年製のレスポール・カスタム。イギリスから広がったブルース・ロックの人気に後押しされる形でレスポール・モデルの再生産が始まったのは1968年。それは、P-90仕様のゴールドトップと2つのハムバッカーが搭載されたカスタムから始まった。いわゆる50年代スタイルのサンバースト・レスポールがレギュラー・ラインに復活するのは1976年頃だったこともあって、この時代のレスポール・カスタムはロック・ギタリスト御用達のギターとなった。
1954年に高級モデルとして発売されたレスポール・カスタムは、エボニー・カラーにゴールド・ハードウェアという出で立ちで、ボディ構造はゴールドトップと異なり、1ピース・マホガニー材から作られていた。その一方で、1968年からの再生産モデルのボディはマホガニー材の表側にメイプルを重ねたレイヤード構造へと変更され、更に2つのラージ・ハムバッカーが搭載されていたので、内容的にはサンバースト期のレスポール・スタンダードを引き継いだモデルといえるだろう。
是永の1974年製のレスポール・カスタムを見てみると・・・ネックは3ピースのマホガニー製でやや薄いDグリップ。フィンガーボードはエボニー製で、オリジナルの細く低いフレットは、ミディアム・ジャンボ・サイズのものへとリフレットされている。カバーが外されたネック・ピックアップはボビンにTのエンボス型が入ったオリジナル・ハムバッカー。ブリッジ・ピックアップは、ビリー・ギボンズ(ZZ トップ)が持つ1959年製サンバースト・レスポールのホットなハムバッカーを再現したセイモア・ダンカンのパーリ・ゲイツへと交換されている。1974年はレスポール・カスタム発売の20周年にあたるため、15フレット・インレイの中にそれを示す文字が彫り込まれている。この時期から少数生産されるようになったホワイト・フィニッシュは、製造から50年、是永が手にしてからでも既に30年が経過した現在では、歳月と凄みを感じさせる風合いへと変化している。
替えのきかないギブソン・トーンを備えたこのギターを、是永は大切にしながら事ある毎に使用してきた。そしてもちろん、再結成されたレベッカのステージでも再び手にしている。
OWNER | MODEL DESCRIPTION | YEAR OF MANUFACTURE OR SHIPPING | SERIAL NUMBER | NUT WIDTH | NECK THICKNESS | BODY THICKNESS | STRINGS HEIGHT@12TH FRET | PICKUP DC | WEIGHT | STRINGS | ||||
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1st FRET | 9th FRET | NECK | END | LOW-E | HIGH-E | NECK | BRIDGE | |||||||
Kouichi Korenaga | Les Paul Custom 20th Anniversary | 1974 | 503066 | 42.60mm | 20.45mm | 25.55mm | 50.30mm | 49.03mm | 1.2mm | 1.2mm | 7.54K | 7.99k | 4.72kg | .0095-.044 |
文:關野淳(ヴィンテージギター・エキスパート、ライター)
ギター・インスペクション:岡村嘉久 Gibson Brands Japan