THE COLLECTION: 是永巧一

2024.04.08 THE COLLECTION

THE COLLECTIONとはTAOS (The Art of Strings) に登場するギタリストが所有、愛用するギブソンを紹介するシリーズです。


● 1974 Les Paul Custom / 20th Anniversary #503066

「レベッカの解散コンサートから使い始めた」と是永が語るギターは1974年製のレスポール・カスタム。イギリスから広がったブルース・ロックの人気に後押しされる形でレスポール・モデルの再生産が始まったのは1968年。それは、P-90仕様のゴールドトップと2つのハムバッカーが搭載されたカスタムから始まった。いわゆる50年代スタイルのサンバースト・レスポールがレギュラー・ラインに復活するのは1976年頃だったこともあって、この時代のレスポール・カスタムはロック・ギタリスト御用達のギターとなった。


1954年に高級モデルとして発売されたレスポール・カスタムは、エボニー・カラーにゴールド・ハードウェアという出で立ちで、ボディ構造はゴールドトップと異なり、1ピース・マホガニー材から作られていた。その一方で、1968年からの再生産モデルのボディはマホガニー材の表側にメイプルを重ねたレイヤード構造へと変更され、更に2つのラージ・ハムバッカーが搭載されていたので、内容的にはサンバースト期のレスポール・スタンダードを引き継いだモデルといえるだろう。


是永の1974年製のレスポール・カスタムを見てみると・・・ネックは3ピースのマホガニー製でやや薄いDグリップ。フィンガーボードはエボニー製で、オリジナルの細く低いフレットは、ミディアム・ジャンボ・サイズのものへとリフレットされている。カバーが外されたネック・ピックアップはボビンにTのエンボス型が入ったオリジナル・ハムバッカー。ブリッジ・ピックアップは、ビリー・ギボンズ(ZZ トップ)が持つ1959年製サンバースト・レスポールのホットなハムバッカーを再現したセイモア・ダンカンのパーリ・ゲイツへと交換されている。1974年はレスポール・カスタム発売の20周年にあたるため、15フレット・インレイの中にそれを示す文字が彫り込まれている。この時期から少数生産されるようになったホワイト・フィニッシュは、製造から50年、是永が手にしてからでも既に30年が経過した現在では、歳月と凄みを感じさせる風合いへと変化している。


替えのきかないギブソン・トーンを備えたこのギターを、是永は大切にしながら事ある毎に使用してきた。そしてもちろん、再結成されたレベッカのステージでも再び手にしている。

 

OWNER MODEL DESCRIPTION YEAR OF MANUFACTURE OR SHIPPING SERIAL NUMBER NUT WIDTH NECK THICKNESS BODY THICKNESS STRINGS HEIGHT@12TH FRET PICKUP DC WEIGHT STRINGS
1st FRET 9th FRET NECK END LOW-E HIGH-E NECK BRIDGE
Kouichi Korenaga Les Paul Custom 20th Anniversary 1974 503066 42.60mm 20.45mm 25.55mm 50.30mm 49.03mm 1.2mm 1.2mm 7.54K 7.99k 4.72kg .0095-.044

 

文:關野淳(ヴィンテージギター・エキスパート、ライター)
ギター・インスペクション:岡村嘉久 Gibson Brands Japan