Don’t kill that guitar: Dealing with hard-to-tune instruments

大切なギターを台無しにしないで!:チューニング・音程合わせが困難なギターへの対処法

by Roger Fritz

チューニングが定まらないギターほど、フラストレーションが溜まるものはないでしょう。もちろん、波長が合わないギターは論外ですが。チューニングに関する問題の多くは、一般のギタープレイヤーの方でも見つけだすことが出来、改善することができます。但し、もっと深刻な症状であれば、熟練のギターテクニシャン・技術者の専門技術の助けを借りることが必要になります。

以下では、チューニングに関して最もよくあるトラブルのうち数例をご紹介し、その解決策をお教えします。

 

質が悪かったり、ぼろぼろまで使い倒された弦巻きの場合

ジャンク状態だったり、単純に使い古された状態の弦巻きの付いたギターをよく見かけます。交換用の弦巻きを買いに出る前に、がたがたの状態のねじ類やパーツ類を再度点検してみてください。

 

弦巻きを回すと、耳障りなきりきりといった音がする場合

このきりきりとした耳障りな音は、ナット溝に対し張ろうとしている弦があまりにも太すぎる場合に生じます。弦を巻き上げてもきりきり、弦を緩めてもきりきりと音を発し、チューニングは定まりません。下記の3つの解決策をご紹介しましょう。

  1. 最も簡単な解決策は、単純に弦をより細いゲージのセットへと交換することでしょう。言い換えれば、工場出荷時の弦のゲージに戻すということです。たいていのギターは工場出荷時、ミディアムゲージからライトゲージでセットアップされています。もし今張られている弦のゲージが不確かでしたら、お近くのディーラーに相談してみることをお勧めします。

  2. もし今まで使われてきた弦のゲージを気に入られている場合、黒鉛粉末や鉛筆の芯をナット上の弦の溝に塗り、弦の滑りを円滑にしましょう。弦の溝と弦のゲージのサイズに僅かな隔たりしかない場合であれば、このやり方でばっちり上手くいくでしょう。弦を僅かに緩め、ナットの弦の溝から弦を持ち上げナットの上部で弦を一時的に逃がします。次に、黒鉛粉末をナットの弦の溝に塗りこみます。黒鉛粉末は小さなチューブに収められて販売されていることが多く、主にドアの錠のための潤滑材として売られています。もしほんの少しだけ必要な場合、爪やすりと鉛筆があれば事足ります。単純に鉛筆の黒鉛を砕き爪やすりに馴染ませ、滑りを良くするようナットの弦の溝に黒鉛を落とし込めば良いでしょう。

  3. もし今張っている弦のゲージを変えたくない場合、またはナットの弦の溝の潤滑化が上手くいかない場合、その場合はナットの弦の溝を広げる必要があります。もし皆様がナット作業専用のナット溝切り用の金ヤスリをお持ちでないならば、ご自分ではなさらないようにしてください。もし一般的な金ヤスリを使ったら、ナットの弦の溝を広げすぎてしまうでしょう。その場合、きりきり、カチカチ聞こえていた音は消えるでしょうが、開放弦を弾く時はいつも、特徴的なカラカラいう音や弦ビレの音が発生してしまうことでしょう。もしナット溝切り用の金ヤスリをお持ちで無い場合、迷わずギターのリペアマンに相談してください。リペア料金はさほど高額にはならないでしょう。ついでに、深く沈みこんだブリッジサドルのサドル溝もギターテクニシャンにチェックしてもらいましょう。アコースティックギターでもエレクトリックギターでも、サドルやブリッジが消耗したり磨耗している場合は迷わずパーツ交換した方が良い内容となります。

 

音程が合わない場合

チューナーを使ってチューニングしGのコードを弾いてみましょう。どうにもこうにも全体の音程感が合っていないようです。次に、使用頻度ナンバーワンのDのコードも弾いてみましょう。やはり、音程感に難ありです。

このようなケースでは、お持ちのギターが各弦ごとに高さ調節可能なアジャスタブル・サドルを載せたブリッジを搭載している場合、調整により容易に解決できるでしょう。もしお持ちのギターがギブソン・チューン・オー・マチック・ブリッジを搭載しているならば(事実、ほとんど全てのギブソンのソリッドボディモデルやセミホローボディモデルに搭載)、電子チューナーを用意してコチラの記事をご参照ください(ギターのセットアップの基礎)。もしくは、ギターテクニシャンに調整を依頼するようにしましょう。

もし、固定サドルを搭載したアコースティックギターをお持ちの場合、この問題の解決法は、サドル上を削り各弦の載るポイントを前後に設定することになります。このアコースティックギターでのオクターヴ調整作業は、有能なリペアマンこそが適切に行える作業となり、有償リペア代金もある程度は覚悟しなければならないでしょう。

音程に関する問題での最悪のケースは、フレットの溝切り位置が不正確だったり、ブリッジの取り付け位置が誤っている場合などです。これらは稀なケースですが、現にそのようなケースも存在します。そのような場合、前述したような解決策を十二分に試みた後、プロのリペアマンにスケール測定ツール(直定規)でフレットの溝位置などをチェックしてもらう必要があるかもしれません。もしそのギターが保証期間内であれば、不幸中の幸いです。もし保証が切れてしまっていたら、プロのリペアマンの門戸を叩き有償のリペアを依頼することになります。

 

張られている弦が古い場合

チューニングに関するトラブル事例の最後になりますが、これは中でも最も簡単な解決策です。もし張られている弦が古い感じがしたり、随分長い間張りっぱなしだと自覚されている場合、新しい弦に張替えチューニングがバッチリになったか確認してみましょう。