なぜ、時に易々と弾ききれてしまうようなギターが存在するのでしょうか?多くの場合、肝心な点は"セットアップ"の問題なのです。セットアップとは、それぞれのプレイヤーの演奏スタイルに合うように、ネック、弦高、弦長などを正しく調整することです。以下では、プレイヤーの手で行える平易なギターセットアップの手順について、順を追ってご確認いただけます。
必要な工具:
ご注意:あらゆる演奏スタイルにおいて、僅かに順反りしているネックが理想的です。完全に真っ直ぐなネックの場合、たいていのケースにおいて若干順反りしているネックの場合と比べると、ハイフレットでのバズ音(ビビリ音)を最小に留めるために弦高をより高く設定する必要がでてきます。プロのリペアマンの表現を借りれば、順反りに設定することは弦の振幅する余裕を確保するようネックに幾分の"リリーフ"を与える、ということになります。しかしながら、必要とされるリリーフの程度は演奏スタイルにより異なります。完全にストレートなネックは、とても軽いタッチで演奏するプレイスタイルには良いのかもしれません。もしお使いのギターのネックが僅かばかりの順反りの状態であるのならば、トラスロッドを使用した調整の必要は無い場合が多いです。
ここでは、完全にストレートなネックの状態からの調整を行ってみましょう。もし、ネックをストレートに出来ない場合は、その場合は他の症状・問題が潜んでいることを示しています。例えば、ハイポジションでのフレット浮き(フレットがフレット溝から浮いている状態)、低すぎるか磨耗したフレット、もしくは指板上での様々な経年変化などです。例えば、ヴィンテージギターや古いギターの多くには、ネックブロックの上部の指板にこぶのような突起がみられることがあります。これらの症状のほとんどは、修理・調整は可能です。但し、プロのリペアマンの卓越した修理経験と技術力に頼るより他はありません。
ギブソン・エレクトリックギターでの標準弦高:
ギブソン・アコースティックギターでの標準弦高:
もし演奏するのに快適な高さへと弦高調整することが困難な場合、ネックのリセットが必要な場合もあります。また別のケースでは、ブリッジを取り外し、かんなをかけてブリッジの厚みを薄くするか、ブリッジをより背丈の高いものに交換する必要がある場合もあります。フラットトップギターでの木製ブリッジベースの最適な高さ・厚みは3/8"です。(ここではサドルの高さは含まずブリッジベースの高さのみです)もし、お手持ちのギターがその値より大幅に上回っていたり下回っている場合、ネックのリセットを検討することになります。どちらにせよ、プロのリペアマンによる作業が必要となります。
参考資料:パーツ、工具、リペアーに関する書籍について、Stewart McDonaldのウェブサイトにて確認が可能です。Dan Erlewineによるリペアに関するコラムも閲覧可能です。
Books and videos on guitar setup and repair: