The Art of Strings vol. 1
1958年 北海道出身のギタリスト。 10代からプロとして活動を始め、Panta&HAL、PARACHUTE、ARAGON、Nobucaine 、井山大今、Battle Cry 等のバンドに参加。セッションミュージシャンとしても、井上陽水、今井美樹、宇多田ヒカル、大瀧詠一、尾崎豊、角松敏生、かまやつひろし、寺尾聰、徳永英明、中島みゆき、福山雅治、松田聖子、松任谷由実、矢沢永吉、吉田兄弟、ATSUSHI(EXILE)、など多数のアーティストの作品に参加。 自身のソロアルバムも「Studio Cat」(1980年)「2nd ALBUM」(2009年)の2枚を発表している。
11/22/2021 Sound City Annex T1 Studio Interviewer: Tak Kurita Gibson Japan Special Thanks: Jun Sekino
この試奏動画の立ち上げにあたり、最初の候補としてあがったのが今さんなんです。 それはどうも、ありがとうございます。 それでは改めてよろしくお願いします。ES-335は昔から使われてきたということですが、レスポールというイメージが今さんにはなかったのですが。 本当に?大昔はレスポールのデラックス持っていたんです。ゴールド・トップ。 じゃあ、ちょうど(デラックスが)出てた頃に買ったんですか? そうですね、現行商品みたいな感じで。 今日はレスポールとES-335を弾いて頂きました。改めて感じたことや気づいたことはありましたか? やっぱ音がいいですよね。特に高い方の伸びとかはメチャクチャ。そこを多用してしまった感があります。 表現力豊かに弾かれていた印象でしたが、そういったプレイがし易いギターってあるのですか? どのギターがどうっていうのではなくって、やっぱり調整ですよね。僕に合わせた調整ができていれば何でも弾きやすいです。 けっこうピッキングのアタックが強めというかハードなので、弦高は高めの方が・・ 音がいいですね。あとはチョーキングした時の指のひっかかり具合。 今さんファンの間では、コイル・タップ・スイッチの付いた70年代のES-335が有名ですが、LAで買ったんですよね。 新品が楽器店にぶら下がってて、これがいいやって感じで、そのまま持って帰ってきました。その後に色々と。テイルピースはブランコ型だったので、ストップに替えて。ペグが頼りなかったのでグローバーに替えて。それ以外はいじってないですね。 そのES-335も弦高やピックアップの高さなど、セットアップは細かく指定していたのですか? 昔は誰かに頼んだりとかがなかったので自分でいじってたんですけど、最近はいつもやってもらっている志村ってのがいるんで頼んでやってもらっています。(志村昭三氏は80年代より今剛氏のギターに関わり、現在プロヴィデンスから発売されている今剛氏のシグネチャー・モデルの監修、セットアップを行っている) ソロ・アルバムの『Studio Cat』(1980年発売)、中でもギター・ファンの間では「Agatha」が有名ですけれど、この作品はLA録音ですよね? そうです、A&Mのスタジオ。 そのときに持っていったのがES-335ですね。 そのちょっと前にLAに行った時に買って帰って、日本で使って、レコーディングに持っていきました。 1本だけですか? うん1本だけ。1本しか持って行かなかった。
この試奏動画の立ち上げにあたり、最初の候補としてあがったのが今さんなんです。 それはどうも、ありがとうございます。 それでは改めてよろしくお願いします。ES-335は昔から使われてきたということですが、レスポールというイメージが今さんにはなかったのですが。 本当に?大昔はレスポールのデラックス持っていたんです。ゴールド・トップ。 じゃあ、ちょうど(デラックスが)出てた頃に買ったんですか? そうですね、現行商品みたいな感じで。 今日はレスポールとES-335を弾いて頂きました。改めて感じたことや気づいたことはありましたか? やっぱ音がいいですよね。特に高い方の伸びとかはメチャクチャ。そこを多用してしまった感があります。 表現力豊かに弾かれていた印象でしたが、そういったプレイがし易いギターってあるのですか? どのギターがどうっていうのではなくって、やっぱり調整ですよね。僕に合わせた調整ができていれば何でも弾きやすいです。 けっこうピッキングのアタックが強めというかハードなので、弦高は高めの方が・・ 音がいいですね。あとはチョーキングした時の指のひっかかり具合。 今さんファンの間では、コイル・タップ・スイッチの付いた70年代のES-335が有名ですが、LAで買ったんですよね。 新品が楽器店にぶら下がってて、これがいいやって感じで、そのまま持って帰ってきました。その後に色々と。テイルピースはブランコ型だったので、ストップに替えて。ペグが頼りなかったのでグローバーに替えて。それ以外はいじってないですね。 そのES-335も弦高やピックアップの高さなど、セットアップは細かく指定していたのですか? 昔は誰かに頼んだりとかがなかったので自分でいじってたんですけど、最近はいつもやってもらっている志村ってのがいるんで頼んでやってもらっています。(志村昭三氏は80年代より今剛氏のギターに関わり、現在プロヴィデンスから発売されている今剛氏のシグネチャー・モデルの監修、セットアップを行っている) ソロ・アルバムの『Studio Cat』(1980年発売)、中でもギター・ファンの間では「Agatha」が有名ですけれど、この作品はLA録音ですよね? そうです、A&Mのスタジオ。 そのときに持っていったのがES-335ですね。 そのちょっと前にLAに行った時に買って帰って、日本で使って、レコーディングに持っていきました。 1本だけですか? うん1本だけ。1本しか持って行かなかった。 エフェクターはコンパクト・エフェクター? ROSSのコンプとディストーションはボスの黄色いやつですね(OD-1)。コーラスはCE-1持って行って、117Vで使ってたら音がすっごい良かったんですけど、1週間目ぐらいで壊れましたね(笑) 海外録音ということもあって、ギター1本とコンパクト・エフェクター、今のようなデジタル機材は何も無し。しかも時間も限られていたと思うのですが、納得できる演奏と音で録るというのは、かなりの苦労と工夫をされたのではと想像してしまいますが。 いや、やっぱり海外のミュージシャンと一緒にやるのは楽しかったですよ。エンジニアも僕の好きな人をリクエストしたんで。 音決めとかそういったことはスムースにいきました? わりとスムースでしたね。彼は日本人のようなハートを持ったエンジニアだったんですよ。(スティーヴ・ミッチェル氏とは)話が伝わりやすくて、今でも仲良くしている。当時はまだデジタル・リヴァーブも無いし。デジタル・ディレイはあったのかな。でも、せいぜい(ディレイ・タイムが)250ミリくらいしか伸びなくて、長いフィードバックが欲しいっていうんで、2chの(オープン)テレコにエンドレス・テープをかけて、テープの空リールを下げてスピード変えてやってましたね。 その時代ならではの限られた機材で工夫してたっていう楽しさもありですね。 だから今から考えると、そんなに凝った音作りではないですよね。ドラムの音とか生ギターの音とか。生ギターはレンタルで借りて録音したんですけど、やっぱり空気が乾燥しているから生楽器の鳴りがいいんですよ。 LAだと楽器の鳴り方が全然違うんですね。 湿気が多いと、低音は変わんないんですけど高い音が飛ぶのが遅くなるらしくて、高い音が遅れてくるんで音が甘くなるっていうことらしいです。 空気で音の伝導が違うんですね。 こんなに小さいカセット・テレコがすごくいい音だったりするんで、何でだろうって・・・ ハムバッカーとコイル・タップが今さんのサウンドの基本になっていますね。インタビューでもハムバッカーの音が好きと発言されています。 最近使っているほとんどのギターの元になっているのが当時のダンカン・ギターなんです。志村ってやつと2人でどういうギターにしていこうかって。種類までは、わからないけど、それはギブソンのピックアップを載せてもらって。今はJ.M.Rolphのハムバッカー。 ギブソンのPAF系で、そんなにアウトプットが高くはないはずですが、そういったハムバッカーの音が好きというか、それを使う基準となった音楽とか音があるのですか? いや、何となくそこに行き着いた感じですかね。ピックアップを色々とっかえひっかえ研究したほうではないので。ディマジオとか使ってみたことはありますけど、あとはあんまり・・・ほとんどギブソンですね。 ハムバッカーが一番気持ちよく演奏できるサウンドなのですね。 艶っぽい音がするじゃないですか、ギブソンって。 コイル・タップによってハムバッカーをシングルコイルにして使うのは主にリズム・ギターの時ですか? そうですね。やっぱり、シングルの方が16ビート系のカッティングとか、シャキシャキと刻むときに切れ味がいい気がするので。 どちらかっていうとフロント・ピックアップ側をコイル・タップして使うことの方が多いのですか? そうですね。うーんでも、ベンチャーズみたいなのやカントリー系をやる時はリアのシングルコイルでやりますけどね。 コイル・タップはマストなんですね。 そうなんですよ。できれば持ち替えずに1本のギターでいけたら楽っていうか、曲の中で両方の音が登場する場面もありますし、ビーンっていうカントリーっぽい音から、ゴーッていうディストーションまで出せるのは、前も後ろも別々にコイル・タップできる2ハムバッカーが一番使いやすいんです。ストラトとかでもセンター・ポジションってあまり使ったことないですね。ハーフ・トーンは使いますけど。 1曲の中で求められるサウンドを1本でやろうと思ったらそういうセッティングになった? そうですね。 ギター以外の機材周りに関しては、フラクタルオーディオシステムズのようなデジタルも、メサ・ブギーのような真空管アンプも両方使っていますが、今さんはデジタルの新しい機材を積極的に探して使っているっていうイメージです。 そうですね。フラクタルにたどり着くまでに色々試したことはあるんですけど、何か音が良くなくって。やっぱり(デジタルは)だめなのかなって思ってたんです。知ってる人はたくさんいるかもしれないですけど、元々はでっかい20Uのラックがあって。MIDIを使ってスイッチ1個で、曲のイントロ/バース/サビ/間奏のソロで、リヴァーブも変わってほしいし、ディレイ・タイムも変わってほしいし、もちろん歪み具合も変わってほしい。 でも、演奏しながらコンパクト・エフェクターを同時に切り替えるのは大変じゃないですか。それを1発でポンと切り替わるように(20Uラックを使って)やってたんですけど、さすがに、やっぱり、その・・・限界がありまして。そんな時にフラクタルってこんなんだよって聞いて、じゃあちょっとやってみようって、そうしたらやりたいことが出来るようになったんです。 本当はずっとデジタルの使い勝手の良さが欲しかったけれども、そのときに実用的なレベルに近づいたという感じですか? ですね。音の作り方もあると思うんですけど、EQとコンプとをうまく使えば、けっこうアナログな感じの音になる。求めているのはデジタルなのかアナログなのかはわからないですけど。(デジタル・レコーディング・システムの)プロ・トゥールズにしても、出た当時よりも、今はうんと音が良くなってるじゃないですか。やっぱり、そういう意味でデジタルの技術が進んでいるのだと思います。 最新のものを取り入れるという姿勢にとても感銘を受けます。 ありがとうございます。 それはきっとプロとして求められるものを、限られた環境や時間の中でやろうと思うところから来てるのかなって思います。個人的にはどうなのですか?真空管アンプで思いっきりでかい音で鳴らすほうがよいのですか、それとも・・・ もうすっかり(ライン・システムに)慣れちゃいましたね。やっぱり生でアンプを鳴らすと、ステージの構造や材質とかまでに影響されちゃうので、毎回どこへ行っても同じ音が出ないわけですよ。あんまり狭いところででかい音を鳴らしても、他の人と被っちゃって迷惑になっちゃうじゃないですか。そういうのが無いところで音作りができるって意味では便利だなって思います。 よくインタビューで「今さんはとにかくハイファイを求めてる」って書かれているのですが、それだけじゃないと思うのは、ピックアップはアクティヴ・ピックアップじゃないですよね。 アクティヴの音はあまり好きじゃないですね。 そうですよね。ギター本来の音が好きで、それをアウトプットする際に、いらないものが入ったり音が劣化するのを避けようと思って、できる限りピュアなトーンを出そうとして・・・ケーブルとか、色んなものにこだわっているのかと。 そうですね。ケーブルも短くすむところは短いのを作ってもらって、もしくは自分で作って配線してましたね。20Uのラックも組んで、家に持ち込んで広げて、ビールとか飲みながらハンダ付けをして(笑)全部自分でやってました。 なかなかそこまでやる人はいないんじゃないかと思います。 いや、結構いるんじゃないですか。 そうですか?「やっといて」みたいなイメージかと思いましたけど。 最近はそうです。もう老眼でハンダが全然見えないもん。 わかります、わかります(笑)。今さんのサウンドって、日本人なら聴いたことがない人がいないほど、いろんなところで無意識のうちに聴いているはずですが、求めるクライアントというか、例えば角松さん(角松敏生)だったらAOR系の音ですが、鷺巣さん(鷺巣詩郎)みたいな劇伴の時は、音とプレイのアプローチが異なると思うのですが。 「どういう音にしてくれって」とかは言われたことはないですね。 おまかせって感じなんですか? ただやっぱり聞いていると、曲を聞いて何かこうメロウな方がいいんだろうなとか、(鷺巣詩郎氏とやった)エヴァンゲリオンみたいなのだと悪者な感じなんだなと。じゃあ悪者になってやろうってディストーションのギザギザした感じでジャーっていう「砂かけー」みたいな(笑)そういうイメージで作ってますね。 依頼する方も、今さんに任せておけば大丈夫という安心感があるんじゃないですか。 そういうのも、あるのかもしれないです。 今さんのギターってスタジオ・ギタリストでありながら、けっこうアーティスティックっていうか、尖っているものを感じるんですよね。 人間そのものが、こんなに尖ってたからね(笑) 最初の頃って、ギタリストとしての感性的な部分、自分自身の尖った部分と求められるものとのバランスをどうやって取ってたのかなって。 さすがに「スティーリー・ダンみたいに弾いてくれ」って言われた時は、「じゃあ、スティーリー・ダンに頼めば?」って言ったことはありましたけどね(笑) 「ラリー・カールトン呼べば」とか?(笑) そうそう。「オレはそれじゃないから」って。それしかやらないってわけじゃないですけど。もちろんお互いにやり取りして自分の範囲内で寄せていく。 そのバランスの取り方が絶妙だったのだと思います。 そうなんですかね。 メサ・ブギーについてもお伺いしたいんですけど。メサのキャリアが長いんですよね。 PANTA&HAL(頭脳警察にいたパンタを中心に1977-81年に活動したバンドで、今剛氏が初めて参加したプロ・バンド)の頃から既にメサ・ブギーですよ。 多分Mark I、何色ですか? あのベージュっぽい、クリーム色みたいな。 サンタナとかラリー・カールトンと同タイプ? そうそう。アンプの後ろにダイモで名前が貼ってあった頃のやつ。 きっかけは、試奏したり音を聞いたりしたのですか。 どっかで誰かが使っていたのを見たんでしょうね。ちっちゃいのに随分音がでかくていい音するなと。誰だったかなー、もしかしたらラリー・カールトンだったかもしれない。 そこから今でも2台のデュアル・レクチファイアですよね。先程おうかがいしたら、それぞれ違うとか。 1台は日本に最初に入ってきた1台。 それは100ボルト仕様ですね。どのように入手したのですか?輸入代理店に頼んだとか・・・ 輸入代理店の方が「こんなの出たんですけど」って見せてくれて。もう超鉄板な感じのルックスが気に入っちゃって。その場で「今日から使うから」って言って。 音を聞く前にルックスで(笑) 後から「カタログ用の写真を撮りたいんで、ちょっと貸してくれますか」って言われて。それしか実物が無かったから(笑) 実際に音を出してみて、どうでした? バッチリですよ。やっぱり、パワー・チューブを差し替えてバイアス・スイッチを変えるだけで、すぐに使えるってのがなんとも便利で。 クリーンも、クランチも、歪みも、どこも遜色ない感じで? そうです。もう1台は米国仕様をそのまんま。トランスの大きさが日本仕様のやつよりも小さいんですよ。 ステップ・アップ・トランスを電源の前に入れて使ってたんですか? そうそう複巻のトランスで115Vに上げて。 それは意図的に手に入れたのですか、それとも、たまたま入手できたから? 向こうで売ってるのとこっちで売ってるのとはなんか違うんじゃないかと思って。 違いました? 全然違いました。結局今は1台にEL(EL34/ヨーロッパ管)が入ってて、もう1台は6L(6L6/アメリカ管)が入ってる状況にして保管してあります。 チューブを変えて使い分けているのですね。なぜ同じセットが2台あるかっていうのがよくわかりました。 そうなんですよ。だから僕のセカンド・アルバム(『2nd ALBUM』2009年発売)は、ほとんどが、どちらかのデュアル・レクチです。 今さんのサウンドの特徴で、コンプレッサーがギターから最初にくるじゃないですか。これはどういう使い方を? まずギターから出てる信号って微弱じゃないですか。だから、できるだけ性能のいいケーブルを使って先ずコンプレッサーに入れて、そこで電圧掛けて回路の中を通してゲインをちょっと上げる。そうすると、その段階で音がとても強くなる。そこが狙いですね。 バッファー的にっていうか。 バッファー的な発想。 でも、コンプレッサーとしても機能させている? 若干。パコーンってほどはかかってないです。そのパコーンは、例えばスライドやる時とかは延びてほしいんで、そういう時はフラクタルの方で別にもう1台コンプを追加しています。 別掛けなんですね、よくわかりました。いろいろ調べたんですけど、ROSSのコンプがあって、ヴェルベット・コンプがあって。そして今はまた新しくなって(SUHR / Woodshed Comp)。常に何か良いものはないかなと探しているのですか? なんか、けっこう色んな人が持ってきてくれるんですよね。「こんなのどうですか?」みたいに。 その中で一番使えそうなものをと。 実際使ってみて良ければ「もう一個買うわ!」みたいな。 コンプレッサーってすごく今さんのサウンドの要になっているじゃないかと。 そうでしょうね。 ハムバッカー、コンプレッサー、メサ・ブギーが要なのかなって思いました。 用意してきた質問は以上です。他にこれは言っておきたいということがあれば。 何でしょうね。なんかあります? ギブソンのTシャツはXLがちょうどいいとか。もうちょっと持ってきてとか(笑) XXLでお願いします。待ってますから(笑) ギブソンのギターで、今何か手元に置きたいとしたら何ですか? レスポールかSGですね。やっぱりレスポールかな・・・ そんなこと言ったら用意しますよ、本当に(笑) ホントに?よろこんで弾かせてもらいます(笑) どういうレスポールがお好みですか?ネックは’60sタイプの細い方がよいみたいですね。 (当日試奏した)335の方が(ネックが)ちょっと細いでしょ?そっちの方が自由に遊べる感じはあります。 思い入れのある色とかはありますか? サンバーストですね。こんなトラの目があればいいですけど(試奏したギターを見て) ペグはグローバーですか。 いや今日これ使ってすごく良かった。クルーソンですよね。こんなにスムースだったっけかなって。グローバーみたいなのは(たくさん巻かなきゃならないんで)ワインダーを出して巻くのが大変で。今はほとんどがゴトーかシュパーゼルです。ギュッと引っ張って止めて、3−4回したらいいやつ。(ロック・タイプ) レスポールにもコイル・タップがある方がいいんですか? 可能なんですか?でも見た感じでは、どこに付けたらいいんだかわかんないですよね。 ジミー・ペイジみたいにノブを引っぱったら変わるとか。またはピックガードの下側に隠し入れるとか? その手があるか!ルックスは大事にしたいもんね、このデザインは。うん、引っ張ってタップできたらいいですね。 軽いほうがいいですか? うん。 コントロールの位置は今のレスポールのままでよいのですか? これは変わらないでほしい。 では今さんの理想とするレスポール像で締める感じで以上です。どうもありがとうございました。
栗田隆志 Gibson Japan
インタビューの冒頭で本人にも伝えましたが、この企画の立ち上げにあたり、どうしてもお願いしたかった一人が今さんでした。正直、依頼しても断られると思いました。「ヴィンテージ・ギターには興味がない」と聞いていたからです。ところが出演は快諾されました。しかもPARACHUTEの代表曲のひとつTABOO 80’をフルで演奏してもらえるとのこと。弾き慣れている本人楽曲なので、収録は数テイクをさらっと弾いて終わるのかと思いましたが全く違いました。自分にとってベストな弦高を探りながら試奏器の調整を何度も繰り返し、演奏についても自ら納得のいくものが録れるまで絶対にOKを出さずにテイクを重ねられ、どちらも一切の妥協はありませんでした。 別の側面としては、収録の合間には「音、大丈夫ですか?」と我々を気遣い(大丈夫どころか、その超絶なプレイとサウンドに感動しかない)、インタビューにおいては事前に自ら用意したメモを確認しながら、間違いのないように慎重に答えていました。 一言で言えば、仕事においては非情なまでに合理的で自分に厳しいのです。その厳しさの源泉は、「常にクライアントの期待を超えるクオリティの仕事をする」と自らに課しているのではないかと感じました。考えてみたら当たり前です。そうでなければ、これだけ長きにわたり業界屈指のファースト・コールでいられるはずがないのですから。
ヴィンテージ・ギターの頂点といわれるのが1958-60年にかけて、ギブソンで製造されたレスポール・スタンダード。“バースト”の呼び名でも知られるこのギターは、フレイム・メイプル・トップとチェリー・サンバースト・フィニッシュ、そして前年から採用されたハムバッキング・ピックアップが出揃ったことで誕生した。 現在カスタムショップでは、58/59/60年と各年の特徴を再現したモデルが作られているが、その中でも59年モデルの人気は突出している。今回の試奏器となったモデルは、1959年の特徴となるファット系ながら58年よりも一回りスリムになったグリップと同年から採用されたワイド・フレットを備えており、マーフィー・ラボ製品ならではのエクストラ・ロールド・バインディング(エッジ部分を大きく丸める)により長年使い込まれたギターのようにスムースな弾き心地が生み出される。 “PAF”の呼び名で知られる初期型ハムバッキング・ピックアップを再現したアンポッテッド・カスタムバッカーは、オリジナルにみられる個体差の中から、豊かな倍音、艶のあるエッジ、ファットなトーンを組み合わせたトーン・キャラクタに設定されている。 カラーは発売当時のチェリー・サンバーストから赤みと鮮やかさが失われてレモン・カラーへと変化した状態がリアルに再現されており(カラー名ダーティー・レモン)、4段階に設定されたエイジング・レベル(あらかじめ定められたエイジド加工の強度)の2段階目となる“ライト・エイジド”が施されたネック/ボディには、ヴィンテージ・ラッカー特有のウェザー・チェックと呼ばれる細かなヒビが再現されている。
アーチトップとソリッド・ギターを橋渡しするモデルとしてギブソンから1958年に発売されたES-335。セミ・アコースティックという独自の構造を持つこのギターは、薄いメイプル/ポプラ/メイプルを合わせて作られた専用板材が使われる。今日でもギブソンのファクトリーでは50年代から使われてきた大型ホットプレス機が稼働している。ボディ内センター部分にはメイプルのソリッド・ブロックがセットされ、ソリッド・ギターの強さとアーチトップのメロウさを併せ持つキャラクタが作られる。 それまでのマウスイヤーと呼ばれる形状とは異なり、カッタウェイ・ホーンの先端がややスマートになった64年モデルを再現したのが今回の試奏器。ローズウッド製のフィンガーボードは以前のドットマークから小型のブロック・インレイへと変更され、1ピースのマホガニー製のネックは、60年代の中でも特に人気の高い滑らかなミディアム・C グリップに加工されている。落ち着いた色合いのチェリー・レッドは、当時と同じように生地着色。最も軽い経年処理の“ウルトラ・ライト・エイジド”が施されたボディの表面には細かなウェザー・チェック(塗膜のヒビ)が、特徴的なハードウェア類と共に再現されている。そのサウンドは、“PAF”ハムバッキング・ピックアップに基づいて作られたカスタムバッカーによる、ややファットな初期型トーンを引き継ぎながらも、セミ・アコースティック・モデルならではのメロウできめの細かいトーン・ニュアンスを備えている。
文:關野淳大手楽器店、リペア・ショップを経て、現在は楽器誌、音楽誌で豊富な知見に基づく執筆を行うヴィンテージ・エキスパート&ライター。
福嶋優太 Gibson Japan
ネックの調整 今さんの場合、0.01mm程度のネックの反りを感覚としておわかりになるようでしたので、ファクトリー出荷基準ではネックをややリリーフするのですが(わずかに順ぞり)、ご本人の希望によりストレートにしました。このため1弦側の弦高を基準より高くすることで、弦の振幅を妨げないようにクリアランスを確保しました。 弦高、テイルピースの調整 リハーサルの際に、チョーキング時の指の引っ掛かりが気になるとのことでしたので、ご希望に合わせて1弦側の弦高を出荷基準値より高くしました。このセッティングは、スライドギターをプレイする方に多いです。今さんのダイナミックなチョーキング、情感溢れるビブラートといったニュアンスを活かすプレイのために、テイルピースを高めの位置にしています。 ピックアップ 各弦をバランス良く、まとまりのあるサウンドでアウトプットするために、ピックアップを調整しました。使用する弦のブランド、素材、ゲージにより、アウトプット・バランスは変わるため、ピックアップ本体だけではなく、ポールピースによる各弦単位の調整も行いました。各弦の出力バランスをとりながらセッティングする場合、1弦とポールピースの距離は近くなり、6弦は遠くなります。プレーン弦の3弦は振幅が大きく、音量が出やすいため低くしますが、4弦はラウンド弦でサステインと音量が少ないため、ポールピースを弦に近づけます。今回レスポールとES-335でピックアップのセッティングが異なります。レスポールは切れ味の良い王道サウンド、ES-335は特徴である箱鳴りを活かすため、レスポールよりピックアップ本体を下げて、ギター本体の生鳴りを強調しました。
希少性が高く入手困難なヴィンテージ・ギターの塗装の経年変化と弾き心地を忠実に新製品上で再現する特殊技術、エイジング。これを施されたギブソン・ギターの最高峰『ギブソン・カスタムショップ・マーフィー・ラボ』を、当代随一のギタリストが心行くまでプレイする動画シリーズ。