Swapping Sounds: Pickup Replacement

ギターの音を変える:ピックアップ交換

by Roger Fritz

多くのギタリストが一様に感じていることは、完璧なフィーリングと完璧なピックアップが最初から備わったギターを見つけるのは不可能だということです。その結果として、プロのリペアマン達のリペア台では、ピックアップ交換作業がもっとも作業件数の多い作業内容のひとつとなっています。多くのギターリペアの作業同様、適切な工具を予め用意し作業手順が分かっていれば比較的に簡単な作業ですが、準備を怠るとギターを台無しにしかねません。

先ず、これから新たに装着するピックアップは、実際に元からついていたピックアップの交換用ピックアップであることを確認してください。今回はフルサイズのハムバッカーを別のフルサイズのハムバッカーに交換してみます。ヴィンテージのギブソンP90を新品のP90やギブソンのミニハムバッカーに交換することは可能です。しかし、ミニハムバッカーからフルサイズのハムバッカーへ交換しようとしたり、P90からP100(P90のように見えるがコイルがダブルになっていてP90より厚みがある)へ変えようとしたり、ヴィンテージのファイアバード用ピックアップから現行のファイアバードのピックアップへ交換しようとする場合(現行の方は.10インチ分大きいです)、これらの新しくつけようとしているピックアップはサイズ違いのため取り付け位置に収まらないでしょう。

(注: 当ページはピックアップ交換における方法論の情報開示を主旨として公開しています。本来、プロのリペアマンが行うべき修理作業となります。もしご自分でピックアップ交換をトライされる場合、その作業内容や仕上がりの状況について、予め自己責任の原則をご理解いただきますようお願いいたします)

 

ハムバッカーからハムバッカーへと交換する場合、下記の工具類の準備が必要となります。

  • 小型のプラスドライヴァー
  • 小型のマイナスドライヴァー
  • 小型のワイヤーカッター
  • かみそりの刃
  • 小型のハンダごて
  • 小型のフラックス入りハンダ

 

  1. 弦を取り外します。今回はレスポールでのピックアップ交換をご紹介します。もし、ピックガードにピックアップがマウントされているギターの場合、ピックガードまるごと取り外します。

  2. コントロールキャヴィティを塞いでいるバックプレートを取り外します。


  3. ピックアップのハンダを外します。最初に、ハンダごての先端を温め少量のハンダを溶かし込みます。ピックアップはヴォリュームポットにハンダづけされています。もしハンダを外すべきヴォリュームポットがどれだったか忘れてしまった場合、取り外そうとしているピックアップをひっぱり上げ、ピンと張られたワイヤーを追えば分かります。ポットに視線を落とすと、ピックアップのワイヤーはヴォリュームポットの一番右の端子にハンダづけされているはずです。端子のところにハンダごてをあててピックアップのハンダを外します。注意しなければいけないことは、キャパシターのハンダは外さないようにすることです。もし編組ワイヤーがある場合、こちらも併せてハンダを外します。


  4. ギターを仰向けになるようにひっくり返します。ボディのトップにマウントされているエスカッションを留めている4本のプラスねじを取り外してください。必ずドライヴァーを回す手の反対側の手でドライヴァーの先端部をしっかりと押さえながら作業してください。くれぐれも、ドライヴァーを滑らせてボディトップを傷付けないように気をつけてください。4本のねじを緩め取り外したら、ピックアップをエスカッションごと持ち上げギターから外します。


  5. エスカッションを外します。ピックアップ留めバネを押さえながら、バネが飛んでなくならないように気をつけて2本のマイナスねじ(ピックアップ留めねじ)を外します。


  6. 新しく交換しようとしているピックアップをエスカッションに取り付けます。バネが仕込まれたピックアップ留めねじの取り付けは少々まどろっこしいです。ピックアップの取り付けられる向きが正しい向きになっているか確認してください。フロントピックアップについてネック寄りに高さ調整可能なポールピースが位置するよう、リアピックアップについては、高さ調整可能なポールピースがブリッジ寄りに位置するよう確認してください。


  7. 新しいピックアップのワイヤーをコントロールキャヴィティの中へと這わせていきます。次に4本のプラスねじを締め、エスカッションをボディトップにねじ止めします。くれぐれも、ドライヴァーを回す手と反対側の手はドライヴァーの先端をしっかりとつかみ、ドライヴァーを滑らせてボディに傷付けることないよう、注意して作業します。


  8. ワイヤーをポットにハンダづけします。お持ちのピックアップは、1本の編組みワイヤーと2本のリード線になっているか、もしコイルスプリットさせる場合は4本のリード線になっているかのどちらかでしょう。


    2芯の場合:皮膜部を剥ぐとリード線が姿を現します。リード線の端3mmあたりの皮膜を剥ぎます。(ワイヤーストリッパーが手近になければかみそりの刃を用いてください) ハンダごての先端を皮膜から顕になったリード線へあててワイヤーを温めます。そして極少量のハンダを溶かし込み、ワイヤーに染み込ませます。シールド線に対しても同様の作業を行います。ハンダごてを端子にあてハンダを端子に流しこみ、リード線の端を端子の穴に通し、リード線を右側の端子へとハンダづけします。もしハンダの量が足らない場合、足しこんでください。次に、シールドワイヤーをポットの裏側にハンダづけします。ハンダごての先端をポットの裏側につけてください。マイナスドライヴァーを使ってワイヤーが逃げないようにしっかりと押さえつけてください。もっとハンダが必要な場合、ハンダの量を増やします。

    4芯の場合:ギブソンの4芯のピックアップの場合、緑と白のワイヤーはコイルスプリットのためのワイヤーです。ほとんどのレスポールではコイルタップ配線をしていないので、コイルタップ配線については後々のコラムでのテーマとさせていただきます。ここでは、緑と白のリード線をねじり上げテープで留めてください。赤い線がホット線です。ですので、右側の端子へとハンダづけします。黒い線と剥き出しの線をいっしょにねじり上げ、ポットの裏側へとハンダづけします。


  9. キャヴィティのパネルを締める前にギターをアンプに接続し、新たに装着したピックアップのポールピースをタップし、正しく配線されているか確認します。ヴォリュームコントロールも併せて確認します。コントロールパネルを締め弦を張り直し、さあギタープレイを楽しみましょう!!