伝説のレスポール・プレイヤー:ゲイリー・ムーア

Dave Hunter | 2018.08.31 - 特集記事

Gibson.comにて不定期連載を続けておりますLegends of the Les Paulでは、特定の個体のLes Paulモデルに魅せられた偉大なギタリスト達をご紹介しています。アーティストとギターが一体となり、伝説的な音楽が創造されていったストーリーです。

 

一方的な見方をすれば、今回取り上げられているレス・ポールは、フリートウッド・マック在籍時のピーター・グリーンが愛器としていたことで伝説的な一本となりました。しかし、そのギターの次のオーナーとなったのは、傑出した力量を誇るアイルランド人ギタリストのゲイリー・ムーアであり、ブリティッシュ・ブルーズ・ロックでの焼き焦がすような熱いレス・ポールのトーンを提唱する代表格だったのです。ゲイリーは間違いなく、レス・ポール使いの神々の中にあっても、揺るぎない地位を確立していました。象徴的なふたりのギタリストの所有を経つつ、伝説的な音楽の創造に貢献してきた1本のレス・ポールの足跡を辿ることは、非常に興味深いことです。

 

Holding On-n-n-n-n…

Skid RowやThin Lizzy在籍時代から、燃えあがるようなパフォーマンスを繰り広げるソロ活動期に至るまで、ムーアは、70年代以降ずっと、ストレートなロックに端を発したブリティッシュ・ブルーズ・ロックの先駆的な役割を担い、ステージやスタジオで衝撃的なパフォーマンスを繰り広げてきました。

60年代中後期のブルーズ・ロッカーよりも大きくゲインが引き上げられた、出力の大きなムーアのレス・ポールによる演奏スタイルは、音程の可変幅の大きいベンド・テク二ックや途切れることがないサステインにより特徴付けられており、そのサウンドの力強さは、ヒット曲、“Parisienne Walkways”にて最も如実に示されていました。しかし、ムーアのライヴにおける十八番、長尺のベンド・テク二ックによるロング・サスティンが感動的な力強さへと昇華する様についても、ムーア本人にとってもクリシェ(いつもの決まりきったスタイル)となっていき、おそらくは度を越したスタイルの典型のようになり、ムーア本人がそのスタイルから離れるようになっていきました。

2001年、ムーアはThe Guitar Magazineという雑誌に、こうコメントしていました。“以前、こんな連中がいたんだ。男ふたりで私の行くところにいつもついて来て、毎晩ステージ端に座って、ストップウォッチで音符の長さ(ゲーリーの十八番のロングサスティン)を計っていたんだ。ギグの後に私が姿を見せると、彼らはこんなことを言ってたんだ。‘やあ、ゲイリー、今夜は1分27秒だったぜ! 明日はまるまる2分までいくのかな…?’”

 

Secondhand News

ゲイリーは、1970年代にピーター・グリーンから、あの最も有名な59年製のレス・ポールを購入しています。それはちょうど、グリーンがフリートウッド・マックを脱退して数年経過し、ギターの演奏を実質的に引退してしまっていた頃でした。

グリーンの演奏スタイルは、繊細さや偉大なレス・ポールだからこそ為せる業ともいえる微妙な色彩感を帯びたものでしたが、ムーアの演奏スタイルは間違いなく、“これこそがレス・ポール・トーンだ” と言わんばかりのパワー感とパンチの強さを象徴するものでした。またムーアは、2本目となる59年製のバースト・レス・ポールを購入しており、レコーディングやツアーでも多用していました。ムーアとグリーンに使われてきた伝説の59年製レス・ポールは、2006年にオークションにて200万ドル以上の高値で売却されました。

 

Still Got The Blues

へヴィー・エレクトリック・ブルーズにおける最も重要な提唱者としての地位を確立し、前述したようなドラマチックな演奏スタイル(その最たる例はアルバム、Still Got The Bluesです)を身上としてキャリアを積んだ後、ムーアの2001年リリース作品、Back To The Bluesでは、よりブルーズの真実へむけてアプローチする、ムーアの演奏スタイルを確認することができます。ムーアはThe Guitar Magazine という雑誌にこうコメントしていました。“Still Got The Bluesの作品では、ちょっと弾きすぎの感が強かったんだ” 更にこうつけ加えています。“その方向性からは抜け出せたと思うよ。しかし、そうできるようになるのに10年も要したんだ”

ギブソンは2000-’01年にかけて、フェイデッド・レモンバースト・フィ二ッシュ、逆配置にしたフロント・ピックアップなど、ピーター・グリーン所有時期に施された改造を再現した仕様の Gary Moore Signature Les Paul Standard を生産しました。また、フロント・ピックアップにP-90を搭載した、 Gary Moore BFG Les Paul も同時期にリリースしました。2011年2月6日の夜半、ムーアは、過度の飲酒が誘発したと考えられる心臓発作により亡くなりました。享年58歳と早すぎる最期でした。

 

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ギターブランドとして世界でもっともアイコン的な存在であるギブソン・ブランズは、今まで100年以上に及びジャンルを越え、何世代にもわたるミュージシャン達や音楽愛好家達の最高のサウンドを創造してきました。1894年に起源をもち現在はナッシュヴィルに本社を構えるギブソン・ブランズは、ワールドクラスのクラフツマンシップ、伝説的音楽の創造との密接な結び付き、そして革新的な製品開発など、これまでに脈々と受け継がれてきた伝統とレガシーを誇り、楽器メーカーの中で突出した存在感を示してきました。ギブソン・ブランズの製品ラインには、ギターブランドとして頂点に位置するギブソンに加え、エピフォンやギブソン・プロオーディオ部門のような、製品の存在感とともにファンに愛され続けている多数のブランドも含まれています。ギブソン・ブランズは、未来の音楽愛好家達がこれまでと同様にギブソン・ブランズの楽器によって創造された音楽を体験していただけるよう、クオリティ、革新性、卓越したサウンドの実現に全身全霊を注ぎます。

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