
創業者ファミリーの故郷・ギリシャで、「共鳴」を意味する言葉にも通じるEpiphone(エピフォン)。創立150周年を迎える2023年、この時代に鳴り響くエピフォンの「サウンド」を伝えるため、数々のエピフォン・プレイヤーが登場する「THE SPECIAL COVERS」を展開します。第8回目は、ELLEGARDENやNothing’s Carved In Stoneのギタリスト、さらには音楽プロデューサーとしても名高い、日本を代表するギターヒーローの生形真一さんが登場。2020年、彼のシグネチャー・モデルとしてエピフォンより発売され、即完売となった幻のモデル「Shinichi Ubukata ES-355」がアップデートされ、新たなカラー・バリエーションを従え再登場となった。その発売を祝し、選ばれた購入者の中から当選者だけが参加できた、一夜限りのスペシャルな発売記念イベントの様子をレポートします。



ギブソン、エピフォンの名器が並ぶ会場内にて、イベントがスタートする。生形さんが実際にライブで使用しているというエフェクターボードとアンプが間近で見られる距離にセットされた客席。本人の登場を待つ来場者の胸の高鳴りが今にも聞こえてきそうな、緊張感が漂う。この日の司会進行を務めるギブソン・ブランズ・ジャパン 栗田隆志氏の呼び込みにより生形さんが登場。まずはNothing’s Carved In Store(以下:ナッシングス)の「Beginning」を演奏する。

ダンサブルなビートに乗って、スリルと高揚の表裏一体を描くようなカッティングが鳴り響く。体を揺らす人、笑顔を浮かべる人、その手元や足元を食い入るように見つめる人、着席スタイルのイベントではあるが、各々が目の前にいる生形さんのプレイに馳せてきた想いを開放する。パフォーマンスが終わると、場内には大きな拍手が起こり、その余韻に浸るように栗田氏が口を開く。本記事は、そこから始まった生形さんへのインタビューの全編を中心にお届けする。

――何がすごいって、エフェクターの切り替え。手元は演奏に集中しながら、左足がまるで別の生き物みたいに動くのを間近で見て感動しました。でもこれ、踏み間違えることはない?
全然ありますよ(会場一同笑)。まず歪が5個くらいあって、例えば今日はアンプが2台ありますが、出しているのはVOX(ボックス)の方で。いつもはAC-30なんだけど、今日持って来たのが作業部屋に置いてあるAC-15って小さいアンプだから、さっき(リハで)「Beginning」のリフ弾いたときにパンチが足りないなって思って、普段踏んでいるブースターではなくファズにしました。けっこうライブハウスによって変えたりします。それはもう感覚で。
――「Beginning」って、中級、上級者じゃなくても弾ける曲でしたね?
「初心者でも弾きやすい曲ないかな」と考えて、「Beginning」はパワーコードのリフになっていて、それさえ覚えてしまえばサビまでいけるからいいかなと思って。
――フレーズとしてはシンプルだけど、ここは気を付けたほうがいいと思うポイントは?
シンプルだからこそノリが大事で、ドラムとかベースのノリを感じながら弾かないとビートが平らになってしまう。頭が食っているので、リズムをちゃんと取れたほうがいいですね。

――本題に入ります。このたび「Epiphone Shinichi Ubukata ES-355 ver.02」がリリースされました。この企画を持ち掛けたときに言ったのは、「ギブソンの廉価品を作るのではないんです」ということで、もちろんギブソンより値段は安いんだけど、「若い人でも中級者でもベテランでもカジュアルに楽しめて、音楽性を高めてくれるような、新しい楽器にしませんか」ということでしたね。
そうですね。
――そして弾くことはもちろん、所有するのも楽しい楽器。
俺は栗田さんとはもう15年以上の付き合いで。もちろんギブソンのモデルをつくるのもいっしょにやっていて、俺の好みだったり、音をすごくわかってくれている人で。普段やりとりをしていて、前回のバージョン1もそうだったんですけど、ピックアップはギブソンでも使われている57クラシックをのせてとか、ビグスビーも付けてとか、そのへんはすごくこだわりましたね。
――ギブソンのDNAをしっかり持っていて、しかも生形真一の意匠となる部分は絶対に端折っちゃいけないなって。ビグスビーもバリトーンも、ギブソンのピックアップも、電装系もすべて、きっちりやんないとって考えました。
バージョン1のときからそうですけど、何回もチェックしましたね。そのなかで、今回はヘッドが変わったんですよ。あとは色のバリエーションが増えた。

――そう、カラマズーヘッド。そういえば、生形くんはいつも「俺のモデルだけどファン以外の人にも弾いてもらいたい」って言ってるじゃない?
大袈裟な話になっちゃうけど、レスポールってもともとは人の名前じゃないですか。レス・ポールさんのモデルなんだけど名前が独り歩きして、今は皆レスポールといえば人ではなくてギターを思い浮かべる。それって凄いことだなって。だからせっかくギブソン/エピフォンとギターを作れる機会があるのだから、そういうのを目指してみたいなって考えました。
――5色から好きな色を選んでいただいて、自分なりの個性を主張してもらいたいなという意図もあります。
色を増やすとなったときに、最初に言ったのはOlive Drab(オリーブドラブ)です。俺、サウンドガーデンがすごく好きで。クリス・コーネルが自身のシグネチャーを出したときに使っていたこの独特の緑をすごく覚えていて、「色どうしたい?」って聞かれたときに、「この色を入れたいです」って言って。
――Pelham Blue(ペルハムブルー)も最初に出てきました。
ちょうど今Pelham BlueのSG(エスジー)を使っていて、最近それがすごく好きなので。あとはスタンダードな黒と赤。あと白も以前から好きで、自分でも1本ダイアモンドFホールのES-335の白を持っているので。それで合計5色にしました。


――アメリカやヨーロッパからも、「販売して欲しい」っていう声が多いので、将来的にはグローバルリリースにしたいと考えています。
それは嬉しいですね、ありがとうございます。
――ここからはギタリストにフォーカスした質問です。ギタリストって、手にするギターによって出てくるフレーズとか音楽って結構変わるのかな?
相当変わると思います。例えばレスポールとセミアコでも違うと思うし。俺は生音で弾くことも意外と多いんですよね。スタジオでもコントロールルームでメンバーと話しながらフレーズを作るときは生音で作るし、そういうときのギターの響きは、プレイとか作るフレーズに絶対に関係していると思います。音色に刺激されて生まれるフレーズって絶対あると思うので。それは楽器の弾きやすさもそうだし、弾きづらさもそう。このギターはこのポシションがいい音するなとか、この辺でピッキングすると一番鳴るなとか。頭でなんて考えてないですけど、気が付いたら自然と一番気持ちのいい音がするところを弾いてます。
――今日来ていただいた皆さんも、日々一生懸命練習しているはずです。「なかなか弾けないな」とか思いながら。楽器って習得するのが大変ですよね。どれだけ楽器に寄り添うか、楽器と長くいっしょに過ごすかっていうのは、やっぱり上達のコツのひとつ?
そうですね。あとは上達のコツっていうか、さっきも言ったけど生音で弾くのも大事かなって思います。今は便利で、ギターアンプがなくてもパソコンにオーディオインターフェイスを繋げばいい音が出るし、簡易的なシミュレーターってコンプが掛かってたりして気持ちよく弾ける。それで「上手く弾けた」、「いい音した」と思って、自分の持っているアンプで音を出すと、ぜんぜん思ったように弾けなかったりするんです。特に真空管のアンプって、歪ませてもクリーンで弾いている感覚がするんです。だから最初はすごく難しくて、まずアンプを嫌いになるんですよね。弾きづらいし、理想とする音がなかなか出せない。だからといってシミュレーターにいくよりは、アンプで生の音で練習して試行錯誤して、真空管アンプ本来の暖かみと空気が振動する音、その感覚を知ってからシミュレーターを使うほうがいいかもしれないです。シミュレーターもやっぱり大元は真空管アンプの音を目標としている物なので。

――良いアンプって、よく言えば表現力がそのまま出るんだけど、言い方を変えれば粗が目立つ。
そうなんですよ。そこが本当はおもしろいところなんですけどね。昔のスタジオにはマーシャルのJCM800か900、それかジャズコーラスしかなかった。俺は見た目がかっこよくて、最初はマーシャルにしたんですけど、あまりに自分の下手さとコントロールのできなさが嫌でJCを使うようになったんです。JCにエフェクターを使うとすごくコントロールしやすいし、歪も増やせるし。でもあるときからまたマーシャルに変えました。ギターを始めて数年経ってからそのおもしろさにようやく気づいたというか。JCのクリーントーンはまたそれはそれで素晴らしいですが。
――機材の話だと、初心者の人はまず、どんな楽器を選んだらいいか、どんなエフェクターを買ったらいいか、すごく悩むと思うんです。生形くんはES-335を狙って買いに行ったのですか?
最初は別のギターを弾いていたんです。22歳のときなんですけど、バンドを新しく組んで、ギターも新しくしようと思って、次に買うならギブソンだなって思ってたんです。1本も持ってなかったし。それでいろんな情報を集めて、レスポールがいいとか、セミアコもいいとか、先輩とかいろんな人に訊いて楽器店に行って、最初はレスポールを試奏したんですけど、やっぱりいいなと思って弾いていて。そのときに、ふと壁を見たら赤の335が半額で売ってたんですよ。すごく安いし見た目もかっこいいから試奏してみたらすごくしっくりきて。当時誰も使っていなかったし、カッコいいかなって思って、それで選びました。
――爆音で試奏していて店員さんに音量を下げられたんでしょ?(笑)
そうそう、俺が弾いていたら黙って(ボリュームを)下げちゃうんですよ(笑)。楽器屋さんって、昔は入りづらかった。これもよく言ってるんですけど、当時はネットもないから情報が少なくて、エフェクターって全部歪むもんだと思ってた。アンプで歪まないからエフェクターを買いに近所の楽器屋に行ったけど、当時の中学生の俺からしたら店員さんはかなり年上じゃないですか。気安く声もかけられないし、カッコつけもあって、何も聞かずに「これくださいって」って言ったのがコンプレッサーだったんですよ(会場一同笑) 全然歪まないし、なにをどうしても変わらない。そういうのもある意味経験にはなったかなと思いますけど(笑)。
――緊張するからね、楽器屋さんに入るのも試奏も。
俺、いまだに嫌です人前で試奏するの。
――だから皆さんも恥ずかしがらなくていいし、試奏するときに緊張するのも普通なんですよ(笑)楽器を買うのはもちろん緊張するんだけど、初めてバンドとして人前で演奏したのは?
高校生のときに、ライブハウスでやったか、文化祭か・・・。でも、バンドとしてちゃんと演奏したのは千葉の市川にあるライブハウスですね。楽しかったですよ。
――ライブハウスだと、やっぱり上手い人がいると引き抜きがあるとか?
ライブハウスの中ではありましたね。俺らの出てたTHE 3rd STAGEっていうライブハウスは、わりとアットホームなところで、そこでエルレのメンバーとも知り合いました。ライブハウスで演奏するのも、そういう場で繋がりを作るのも大事かもしれないですね。
――やっていくうちに、どこかでプロになろうと思う瞬間があった?
わりと曖昧で、もしかしたら初めてギターを手にしたときから思っていたかもしれないです。プロになりたいというより、「こういう風になりたい」、「人前で演奏したい」って理想ってあるじゃないですか。

――バンドをやっていくって、先生とか親に言ったら普通は「勉強しろ」とかって言われるんじゃない?(笑)
親にはあまり明確に言った記憶がなくて、もちろんバンドをやっていることは言ってたけど。反対はそんなにされなかったですけど。エルレはけっこう下積みが長くて、22歳のときに始めて、1000人規模のライブハウスが埋まるまで5、6年かかってるんです。毎年100本くらいライブをやって、そうなっていったって感じで。そのくらいまでは「いつまでやってんの?」みたいな空気をひしひしと感じてましたけどね。
――今、エルレはツアー中ですし、それが終わるとナッシングスの『THE SOLAR BUDOKAN』があるし、今やもう1年中働きっぱなしで。
エルレはCDを出してツアーを回ることが16年ぶりなので、今はそこに力を入れさせてもらって、それからはナッシングスも続けてやっていこうかなって感じですね。
――夏バテ防止とか体力維持とか、何かしてます?
体調管理はけっこうしていますね。打ち上げとかも毎回出たい人は出るんですけど、「今日はやめとこう」ということも各々あるし。
――生形くんはお酒を飲まないよね?
俺は飲まないですね。エルレもナッシングスも、俺以外は結構大量に飲むので先に帰ったりします(笑)
――そういえばギブソンのシグネチャーモデルの話は、たしか飲み屋で話が始まった。
そうですね。栗田さんと俺と当時のマネージャー、ギターマガジンの当時の編集長と話をして。
――そこで、すでにFホールを変えるという案が出てきた。
ダイアモンドFホールって、そのときに話しましたよね。トリニ・ロペス・モデルがダイアモンドFホールで、すごく好きなんだけど、ヘッドの形がファイヤーバードのものじゃないですか。普通の3連のペグのほうがバランスがいいんじゃないかって昔からずっと思ってて、それを話したんですよね。
――これは飲みの席での話として終わらせちゃいけないぞってメモを取って、次の日にメールしました。その前には「そろそろシグネチャーモデルのアイデアとかある?」って聞いたら「俺いらないです」って、即答で断られてるから(笑)
なんだったんでしょうね、あのころは(笑)

――シグネチャーモデルよりも、「まずは、ESを使いこなしてやる、俺のギターにしてやる」っていうマインドが強かったのかな?
それを一番意識していたのは335を手に入れた時です。これをコントロールできるようになりたいと思いました。2トーン、2ボリュームは、本当に多彩な音作りができるように付けられてるんだなって、ずっと使い続けているうちに知ったことだし。ひとつのものをずっと使っていると、いろんなことがわかってくるなと。
――ギブソン使いって、すごく微妙にコントロールしてるね、ボリュームとかトーンを。
そうですよね。さすがに俺、ライブ中はあまりいじれないから、この曲だけトーン絞っておこうとかはあるんですけど、本当にすごい人はフレーズごとに常にボリューム触ったりするから。
――皆さん、これは飾りじゃないんですよ。ちゃんと使うといろんな音が出せますよ。
意外とトーンが大事で、いやボリュームも大事か。誰かが言ってましたが、俺はライブ中は10にしてるんですけど、ボリュームは9くらいにすると角が取れていいって人もいるし、トーンも同じで、とくにマーシャル系のアンプは高音が痛いときがあるから、そういうときにちょっとボリュームかトーンを絞るといいかもしれないですね。

――ライブはお客さんがいるし、自分もノッているハイな状態だと思うけど、その一方で冷静なペダルの踏み替えや音のコントロールも必要ですよね?
それは本番までに体で覚えるようにしますね。ひたすら何回もやって、足も自然に動くようにしています。
――体が勝手に動く状態になってないと、ライブでテンションを上げつつ、みたいなことはできない?
そうですね、それは絶対です。
――ライブで絶対に間違えられないところってありますよね、イントロとか。もしそこで間違ったらどうする?
間違え方にもよりますね。音が出なくなっちゃったら終わりですけど、フレットを半分間違ったとかでも、俺はそのまま弾いちゃうかな。気づいたら戻すとか。
――間違ったって外に出した時点でダメだもんね、きっと。何事もなかったかのように弾き続けると。
そうですね。あと自分のバンドだと、どっちも「すみません、ごめん」ってお客さんに言うとなんとかなったりするバンドなんで(笑)
――吉川(晃司)さんのバックだと、そうはいかないよね?
吉川さんのステージで一番焦ったのは静岡のライブで、俺、思いっきりエフェクターを踏む癖があるんですよ。その時は踏んだ瞬間にエフェクターが壊れて、まったく音が出なくなった。すごいノリノリの曲の途中で・・・。結局その曲まるまる出ず、その後も5分くらい出なくて、その間を吉川さんがMCで繋ぐっていう・・・。あれが今までで、いちばんやらかしたことですね。終わってすぐ謝りにいったら、「久しぶりに人前で長い時間話せてよかったよ」って言ってくれて(笑)
――さすが、寛容な返し(笑)
エルレとナッシングスでは、プレイもサウンドメイキングも真逆のアプローチにみえますが、ナッシングスのそれはエルレのときから自身に内在していたものや温めていたものを吐き出した?それとも必要に迫られて生み出した?
その時代の流行もあると思うんですけど、エルレのときは、当時いっしょにやってた周りにいたバンドもアンプ直とか、そういうジャンルのバンドが多くて、その中では俺は多くはないけど、歪を3つくらい使っていたし、こだわっていたほうだと思います。でも、そうこうしているうちに、いろんなバンドが出てきて、巨大なボードを使っているバンドも出てくるようになって。エルレが1回休止してナッシングスを組む前に、俺もああいうボードを作ってみようと思いました。シンセみたいなことをギターでできるようになりたいなって思って始めました。


――エフェクターって無数にあるから、かなり研究しなくちゃいけないのでは?
エフェクターは、評判になっているものを調べたり、薦められるものもあるし、携帯で毎日何かしらの情報を見ているかもしれないですね。エフェクターを変えて音が良くなると演奏がより楽しくなるし。
――制作とか、何かを生み出す作業、例えば楽曲やアレンジなど、一人じゃできないから、バンドメンバーとかスタッフとか、いろんな人との共同作業になるわけじゃないですか。そこで意見の対立とか、ぶつかり合いが生じたときはどうします?
さすがに今は、エルレもナッシングスも、お互いがお互いのことをわかっているから、もめるっていうことはないですね、昔はあったけど。もめるというよりか意見の出し合い。そこで言うべきことは言わなきゃいけないときもあるし、それは今もありますね。スタジオじゃない場所でも一緒にいたほうがいい気がします。音楽だけの話をしていると、どうしてもそこだけに目が向いてしまうので。ライブの打ち上げでもいいと思うし、何気ない会話って大事だなと思いますね。
――楽器の話に戻りますね。ここ2、3年って実は楽器がすごく売れたんです。エレキ、アコギともに始める方が増えました。ただ、あきらめてしまう人も多い。楽器を弾くうえで、長く続けるコツとか、考え方ってありますか?
俺は中学生から弾いてますけど、なんとなくこのほうがいいなって気づいたことがあって、いまだにそうしてるんですけど、なるべくケースにしまわないようにしてます。部屋にスタンドを置いて、いつでも取れるようにしておかないと絶対に練習しなくなります。2メートル先のケースに入っているだけでも、めんどくさくなるんですよ、開けて、出して、またしまわなきゃって。俺に怠け癖があるからかもしれないけど、それは大事な気がします。
――練習していて、どうしても弾けないってことがあるはずですが、そういうときはどうしたらいい?
俺は飛ばしますね、昔から。Fのコードもアコギだったら未だに綺麗におさえられるかわからないし、なんでみんなそんなにFをおさえたがるんだろう、そんなの飛ばしちゃえばいいのにって。Fをそのままおさえる曲ってほとんどないですよ。
――まぁ、そうですね(笑)
難しい単音のフレーズにチャレンジするのは好きなんですよ。でも難しいコードをおさえるのはちょっと苦手なんです。ジャズとか、サーティーンスがでてきて、またすぐ厄介なコードにいったりするじゃないですか。そういうのはいまだに難しい。
――あまり苦手なことをストイックに突き詰めすぎないほうがいい?
そうですね、その中から自分のスタイルもできると思うし。

――こんな機会はないでしょうから、そろそろ参加者の皆様の中で生形さんに質問のある方は挙手してください。では、一人目の方よろしくお願いします。

来場者:徳島県から来ました。よろしくお願いします。355を初めて持つんですけど、バリトーンスイッチはどう使いわけていますか?
生形:え、徳島から?ありがとう。バリトーンスイッチは実はライブでは使ってなくて、使うのはレコーディングのとき。これってゼロが普通の音で、カチカチと上げていくにしたがってローがなくなっていく。最後はラジオトーンみたいにスカスカな音になって、それはそれで使えるけど、俺が一番おもしろいと思ったのは3とか4あたりで、ちょっと粗っぽいシングルコイルみたいなジャキジャキした音になる。なんで(バリトーンスイッチ)を付けたかというと、それが面白くて付けた。
レコーディングのときに、たまにシングルコイルの音がほしいなって思うけど、シングルコイルだとちょっとすっきりし過ぎておもしろくないなってときに、これを3とか4にすると面白い音がするんで、試してもらったらいいかもしれない。

――では次の方、どうそ。
来場者:本日はありがとうございます。東京の中野から来ました。ご自身が作られてきた曲の中で、いちばん好きなフレーズやリフはありますか?
生形:なんだろうな・・・。エルレとナッシングスで1曲ずつ挙げると、エルレは「Space Sonic」のリフ。ナッシングスは「Beginning」が好きかもしれない。「Space Sonic」のリフはもともとイントロではなかった。Bメロ(サビの前)にあれが出てくるところがあるんだけど、最初はそこにしか入れてなかった。そしたら細美さんが、そのフレーズがいいからそれでイントロを作らないかって言って作ったフレーズ。今でもあのイントロが始まると歓声が上がるのがすごく気持ちいい。
ナッシングスって細かいこともやっているけど、一番重きを置いているのは、シンプルで誰もが覚えやすいフレーズ、そして弾きやすいフレーズが凄く好きで、それが一番できている曲が「Beginning」。パワーコードしかおさえていないし、あとはリズムだけで完成しているフレーズだからすごく好きです。

来場者は皆、目を輝かせながら食い入るように生形さんのコメントを受け止めていた。 今回当選されなかった方も含め、シグネチャーモデルを購入した全てのユーザー、ファンに向けて、最後に生形さんからメッセージをもらった。
――ファンの方じゃなくても、楽器屋に入って、目に留まって弾いてくれたら嬉しいなと思います。もちろん、俺のことを知って弾いてくれているのは本当に嬉しいし、きっかけはなんでもいいんですけど、自分がエピフォンと一緒に作ったギターを基として、いろんなことが広がっていく感覚がいいですよね。ギターが繋げてくれる縁ってすごく嬉しいので、ありがたいと思います。

生形さんは最後にもう一曲、ナッシングスの「No Turning Back」を演奏。終演後は生形さんの機材を自由に撮影できるということで、この日を噛みしめるようなシャッター音とともに、イベントは幕を閉じた。


帰り際には来場者それぞれが購入したEpiphone Shinichi Ubukata ES-355 ver.02と同色のギターが入るギグバッグとオリジナルグッズのプレゼントも。場内に溢れる笑顔は、エピフォンの「共鳴・反響」、「重なるサウンド」、そして「夢を受け継ぐ」というブランドテーマとシンクロする。手にした人の日々と未来を豊かに彩る。そんな楽器の魅力を改めて強く実感できたイベントだった。

Photo:横山マサト
Profile
1998年にELLEGARDENのギタリストとして活動をスタート。2008年のELLEGARDEN活動休止(※2018年に活動再開)をきっかけにNothing’s Carved In Stoneを結成。これまでに11枚のアルバムをリリースし、2018年10月には日本武道館公演を敢行。2019年にはNothing’s Carved In Stoneで自主レーベル”Silver Sun Records”を設立。2022年12月16日にELLEGARDEN として16年ぶりとなる6thアルバム『The End of Yesterday』をリリースした。
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ギブソンについて
ギターブランドとして世界でアイコン的な存在であるギブソン・ブランズは、創業から120年以上にわたり、ジャンルを越え、何世代にもわたるミュージシャン達や音楽愛好家のサウンドを形作ってきました。1894年に設立され、テネシー州ナッシュヴィルに本社を置き、モンタナ州ボーズマンにアコースティックギターの工場を持つギブソン・ブランズは、ワールドクラスのクラフツマンシップ、伝説的な音楽パートナーシップ、楽器業界の中でもこれまで他の追随を許さない先進的な製品を生み出してきました。ギブソン・ブランズのポートフォリオには、ナンバーワンギターブランドであるギブソンをはじめ、エピフォン、クレイマー、スタインバーガー、ギブソン・プロオーディオのKRK システムなど、最も愛され、有名な音楽ブランドの多くが含まれています。ギブソン・ブランズは、何世代にもわたって音楽愛好家がギブソン・ブランズによって形作られた音楽を体験し続けることができるように、品質、革新、卓越したサウンドを実現していきます。
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