
“喜多ちゃんモデル”が出る凄さ、どうたとえていいかわからない!
積極的な音楽活動を軸として、放送終了後も人気と期待が高まり続けるアニメ「ぼっち・ざ・ろっく!」。エピフォンからは公式コラボ・モデルが発売され、2023年のInspired by Gibson、そして2024年のInspired by Gibson Custom Les Paul Custom ”Bocchi Edition”はいずれも大好評を博した。そして遂に、劇中で活躍した『結束バンド』のギターボーカル、喜多郁代が使用したモデルが、Epiphone Inspired by Gibson CustomとGibson USAから、レスポール・ジュニア「Ikuyo Kita Model」として発売決定。
これを記念して、2025年末にスペシャル・トークセッションを実施。アニメで演じた喜多郁代そのままに、“リアル結束バンド”のギターボーカルを担当した声優の長谷川育美と、同作品のオリジナル楽曲を編曲したギタリストであり、大のギブソン・フリークでもある三井律郎が、「ぼっち・ざ・ろっく!」に向けた思いを語り合った。
取材・文:田村十七男
撮影:大石隼土

Chapter - 1
「おもしろいことになる!」予感に満ちた喜多ちゃんのボーカル
――三井さんはギブソン公式コンテンツには2回目のご登場です。最初は、ギブソン130周年の2024年に公開した、「ぼっち・ざ・ろっく!」の主人公の後藤ひとりを演じた青山吉能さんとのトークセッションでした。その際、劇中で活躍する『結束バンド』の編曲が三井さんに依頼されたのは、「ぼっち・ざ・ろっく!」がオンエアされる2年前の2020年とおっしゃっていましたね。
三井 そうです。制作スタッフが土台をしっかり築き上げるため、かなり早くから企画が進行していたのですが、誰が歌うのか、楽曲がアニメの中でどう使われるかをまったく聞かされないまま始まりました。なおかつ、そもそも編曲家ではないので、依頼自体が不思議でならなかったです。
――戸惑いはありませんでしたか?
三井 僕の音楽活動の拠点が『結束バンド』と同じ下北沢だったので、編曲も自分らしい下北サウンドで仕上げました。それが女子高生アニメの正解になるのか、かなり怖かったですね。歌唱も、思っていたのと違う印象になったら曲とちぐはぐになるんじゃないかと。それから、アニメの主題歌は89秒に収めるという縛りがあるので、起承転結がはっきりしたモリモリのアレンジが一般的ですけれど、テレビシリーズ主題歌の『青春コンプレックス』には、イントロからベースがないところもあったんです。スタッフの本気度の高さがそれを良しとしたのですが、とにかく「ぼっち・ざ・ろっく!」は、こっちが不安になるくらい最初から常識を超越していました。

――では、歌唱された方にも話を聞きます。長谷川さんのオーディションも2020年でしたか?
長谷川 はい。現場で『結束バンド』のボーカル担当の喜多郁代の絵を見せていただいて、この子ならこういう声が出せそうだなと思いながらオーディションを受けました。
三井 喜多ちゃんの声は、長谷川さんのイメージでつくったものなんだ⁉
長谷川 原作が小説の場合は、文章でキャラクター設定が示されますが、マンガ原作の場合は小説に比べて自由度が高い気がしていて。オーディションでも特にディレクションはなかったんです。ただ、「ぼっち・ざ・ろっく!」はバンドメンバーが4人なので、キャラの近い子の違いをどう出していくか相談するグループオーディションもあったんですよ。
三井 声優さんって、やっぱり凄いです。今ここで聞いている長谷川さんの地声で、喜多ちゃんの高い声がどこから出るのか、まるでわからないですもんね。

――ボーカル担当のキャラクターに合わせて、劇中の『結束バンド』で歌うことも決まっていたのですか?
長谷川 そうなんです。「ぼっち・ざ・ろっく!」の放映開始に向けて、バンドメンバー1人ずつ、声優が発表されていったんですが、最後に名前が挙がった喜多郁代役の私にアーティスト活動のイメージがなかったので、世間がちょっとざわついたらしいです。
――三井さんは、いつ長谷川さんと会ったのですか?
三井 最初は歌声でした。当時はコロナ禍でレコーディングにも立ち会えなかったので、「ぼっち・ざ・ろっく!」の音楽ディレクターの岡村弦さんが長谷川さんの歌唱入りデータを送ってくれたんです。そのときに聞いた言葉が忘れられません。「どうなるかわからないけど、きっとおもしろいことになる!」
長谷川 歌入れも、喜多ちゃんに合わせた感じと、曲の雰囲気に合わせた感じの2パターンを用意しました。でもどちらかというと、私自身は後者でやってみたい気持ちが強かったです。
三井 長谷川さんが第一候補に挙げた歌唱が、ディレクターにおもしろくなる予感を与えたんでしょうね。そこから本当に、世界がひっくり返っていったんです。

Chapter - 2
感謝の気持ちを形にするバンド演奏の選択肢
――「ぼっち・ざ・ろっく!」が驚異的なのは、2022年10月から12月までのアニメ放送が終わってから3年以上を経ても、その盛り上がりが加速し続けているところです。『結束バンド』によるCD発売に留まらず、リアルなバンドとして様々なフェスに出演し、このインタビュー直前には韓国公演もありました。長谷川さんは、それらステージでボーカルを務めています。歌はいつからですか?
長谷川 実は、人前で歌った経験がありませんでした。この仕事を始めてから、ソロ歌唱はキャラソンで1曲くらい。大人数で歌うゲームコンテンツ関連が数回で、ボーカルをちゃんと学んだ機会はないんです。学生時代のカラオケで、友人から上手いねと褒められたことがあるくらいで……。
三井 驚きました。バンドのドラムを背にして歌うのは難しいんです。カラオケがちょっと上手いくらいじゃ無理。なのにJAPAN JAM 2024などの野外フェスで、大観衆を煽りながら堂々と歌うんですよ。アニメの喜多ちゃんにもそういうノリがあるから、キャラが憑依したと言えるのかもしれないけれど、ボーカル経験なしでフェスなんて、僕ならそんなことできません。
長谷川 出演機会のひとつずつが大きかったので、私自身も大丈夫かなと思いながらステージに立っていました。でも、やってみたら出来ちゃったというか……。
三井 長谷川さんを含め、『結束バンド』の声優さんたちはみんな責任感が強いですから。
長谷川 アニメ終了後の音楽活動は、「ぼっち・ざ・ろっく!」をつくり上げたすべての人たちが大事にしたいものだとわかっていたので、しっかり向き合わなきゃという思いはありました。それに、バンドで前に立つのがボーカルだとしても、「ぼっち・ざ・ろっく!」の座長は後藤ひとりを演じた青山吉能なので、彼女がいないときは私が『結束バンド』を背負う意識が強かったです。
――さらに驚くべきは、『結束バンド』のキャスト陣がアニメそのままの楽器を担当し、実際にライブ演奏したというサプライズです。2025年2月に武蔵野の森総合スポーツプラザ メインアリーナで開催された、『結束バンド TOUR “We will B”』に至る1年余りのドキュメンタリーは、『結束バンドへの道』としてYouTubeで配信されました。
三井 あのメインアリーナ、9,000人が入ったんです。彼女たちがバンドをやるのも、当日その場までシークレットでした。
――バンド企画を聞いて、長谷川さんはどう思いましたか?
長谷川 衝撃的でした。というのもギター経験がなかったですし、正直自分がやれるかどうかが不安でした。それに仕事の合間に練習をしていくことになるので、軽い気持ちで受けちゃいけないと思いましたし、戸惑いもありました。「アニメの『結束バンド』はキャストが弾いていないのか?」といった、一定数の声にどう応じればいいかわからなかったので……。
――ファンには様々な思いがあるということですね?
長谷川 私自身、作品づくりに正解はないと考えています。「ぼっち・ざ・ろっく!」であれば、キャストは声でキャラをまっとうし、三井さんは編曲や演奏で最高のパフォーマンスを発揮してくださった。この作品に携わった人々がそれぞれの立場で全力を尽くしたからこそ、現在の成功があると思うんです。なのに、放送終了後にキャストが『結束バンド』をやってしまうのは、私たちなりの正解とは違うんじゃないか。そんな葛藤がありました。
――その上で、バンド企画を受け入れたのはなぜですか?
長谷川 ここまで「ぼっち・ざ・ろっく!」や『結束バンド』を応援してくれた方々への感謝の気持ちを形にするなら、バンド演奏の選択肢もあるのかなと。それから、先に青山吉能がギターに挑戦した『ギターヒーローへの道』をすぐ近くで見てきて、彼女の気持ちをキャストで共有したい思いもありました。
三井 僕は『結束バンドへの道』に直接関わりませんでしたが、わずかな間に弾けるようになっていましたよ。陽キャだけど実直な喜多ちゃんそのままに、陰で相当努力していたと思います。
――『結束バンド TOUR “We will B”』のバンド演奏も配信されていますが、臆する気配は微塵も感じませんでした。
三井 あれ、もう一度見てください。長谷川さん、手元を見ずに歌いながら弾いていますから。天才ですよ。
長谷川 アルペジオは手を見たら弾けなくなるので、あえて見ない賭けに出たんです。

Chapter - 3
楽器を始めるならバンドをやるのがいい!
――再確認させていただきますが、長谷川さんは今回のバンド活動で初めてギターを弾いたんですよね?
長谷川 はい。ピアノを習った経験があったので、音感的な理解はありましたが、楽譜はまったく違って。それにギターはこことここを押さえると音が変わると教えていただいたのですが難しくて、最初はかなり苦戦しました。
三井 そんな困難も責任感で乗り越えていく人たちなんです。
長谷川 いえいえ。でも、楽しくなってきたのは、みんなで集まって演奏したときでしたね。全員の息が少しずつ合っていくのがうれしかったです。
三井 自主的にスタジオに入って合わせたんでしょ? アニメそのままに。
長谷川 「今から行ける人いる?」って連絡して。
三井 見てみたかったです。
――ここで、満を持した話題を。Epiphone Inspired by Gibson Custom レスポール・ジュニア “Ikuyo Kita Model”とGibson USA レスポール・ジュニア “Ikuyo Kita Model”が遂に発売されます。感想をお聞かせください。
三井 ヤバいです!
長谷川 感動しました。
↑Epiphone Inspired by Gibson Custom レスポール・ジュニア “Ikuyo Kita Model”



三井 アニメと同じギターは手に入らなかったので、似たモデルで色を塗り変えた熱狂的なファンも現れたほどなんですよ。原作者のはまじあき先生がペルハムブルーを選んだセンスが素晴らしいです。間違いなく大人気でしょうね。いやぁ、ギブソンから喜多ちゃんモデルが出る凄さ、どうたとえていいかわかりません。
↑Gibson USA レスポール・ジュニア “Ikuyo Kita Model”


↑専用ギグバッグ
――そこまで三井さんが驚愕されるのは、ご自身が大のギブソン好きだからに違いないでしょう。今日は2本のギターをお持ちいただきました。それぞれご紹介いただけますか。
三井 1本目は、先日(2025年12月6日)の結束バンド初韓国ライブで弾いたレスポール・カスタムです。
長谷川 後藤ひとりのギターと同じっぽいですね。
三井 そう。僕もようやく後藤と同じ黒のレスポールを持てるようになりました。韓国ライブで初めて使ったんですけれど、本当に素晴らしかった。
↑三井さん愛用ギター/ Gibson Custom Shop Murphy Lab 1968 Les Paul Custom Ultra Light Aged



長谷川 もう一本は、また違う雰囲気ですね。
三井 こちらも、マーフィー・ラボのレスポール。実はこれ、新しいピックアップを装着したので試してくださいと、このギブソン・ラウンジで弾かせてもらった1本でした。それでバーンと鳴らした瞬間、ピックアップじゃなくて、このギターごと買わせてくださいって言ってしまったんです。かなり高額なんですが、ここまで頑張ったご褒美として自分のものにしました。
↑三井さん愛用ギター/Gibson Custom Shop Murphy Lab 1959 Les Paul Standard Ultra Heavy Aged



――ギターには出会いがありますからね。長谷川さんはギターの魅力をどう感じていますか?
長谷川 弦は6本しかないのに、いろんな音が出せる。あの表現の幅の広さは新鮮でした。いちばん楽しいのは、仲間と合わせて曲になる瞬間ですね。練習を重ねると各パートの音が聞こえてくる気持ちよさは、芝居にも通じるところがあります。あくまで私の意見ですが、楽器を始めるならバンドをやるのがいいんじゃないかなと思いました。あの爽快感は何にも代えがたいですから。
三井 わかるなあ。僕も人と合わせたときの感覚が忘れられないから、今もバンドをやっているんですよね。
――アニメ放送終了後も活動が盛んだった「ぼっち・ざ・ろっく!」は、すでに第2期制作が発表されています。ギブソン愛好家の三井さんが驚愕する「Ikuyo Kita Model」の発売と呼応する形で期待が高まっていくと思いますが、続編にはどんな心持ちで臨まれますか?
長谷川 実は、現時点で何も聞かされていないんです。
三井 僕も同じです。
長谷川 けれど、オンエア終了後の3年間、全スタッフが愛情をもって育んできた空気感が、きっと良い形で2期に反映されると思うので、私たちも楽しみにしています。

――「ぼっち・ざ・ろっく!」を支え続けるファン層をどう捉えていますか?
三井 いろんなファンがいると思いますけれど、『結束バンド』に関しては硬派なバンドっぽい動きでしたよね。
長谷川 作品に即した見せ方だったので、アニメ好きだけでなく、アニメを見ずに入った音楽好きな方や、『結束バンド』のファンとしてライブに来てくれた人も多かったです。
三井 最初に声をかけてもらった5年前には、こんなことになるなんて想像できなかったですよ。
長谷川 私も業界に入る前、幅広く活躍している先輩たちをたくさん見ていたので、どんどん声優としてのハードルが高くなっちゃうと思っていたんです。なのに最近の私がそうなっちゃっていて、驚いています。
三井 とは言え、何千人が集まるフェスで歌えるのは、隠しておいちゃいけない才能ですよ。それにしても、ギブソンから喜多ちゃんモデルが出る凄さを何とかしてたとえたい。
長谷川 音楽をやっていない人にもわかるように?
三井 そうなんです。思いついたら連絡します。

PROFILE

長谷川育美(ハセガワ イクミ)
5月31日生まれ、栃木県出身。ラクーンドッグ所属。
主な出演作品に『ヴィジランテ-僕のヒーローアカデミア ILLEGALS-』(ポップ☆ステップ役)、『ハイスクール!奇面組』(宇留千絵役)、『86 -エイティシックス-』(ヴラディレーナ・ミリーゼ役)、『ウマ娘 プリティーダービー』(ミホノブルボン役)など。

三井律郎(ミツイリツオ) ギタリスト ・アレンジャー
2002年ロックバンド、THE YOUTHのメンバーとしてメジャーデビュー。2007年、LOST IN TIMEへの加入をきっかけに様々なアーティストのレコーディングを開始。並行してla la larksとしての活動も行う。2022年より、アニメ「ぼっち・ざ・ろっく!」結束バンドの殆どの楽曲でアレンジとギターを担当。Aimer、中村一義、須田景凪、渋谷すばるなどライブサポートやレコーディング、ならびにAdo、ヒグチアイなどのレコーディング多数。
申し込みページ:Gibson USA レスポール・ジュニア “Ikuyo Kita Model”
申し込みページ:Epiphone Inspired by Gibson Custom レスポール・ジュニア “Ikuyo Kita Model”
アニメ「ぼっち・ざ・ろっく!」公式サイト:https://bocchi.rocks/tv/
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ギブソンについて
ギターブランドとして世界でアイコン的な存在であるギブソン・ブランズは、創業から120年以上にわたり、ジャンルを越え、何世代にもわたるミュージシャン達や音楽愛好家のサウンドを形作ってきました。1894年に設立され、テネシー州ナッシュヴィルに本社を置き、モンタナ州ボーズマンにアコースティックギターの工場を持つギブソン・ブランズは、ワールドクラスのクラフツマンシップ、伝説的な音楽パートナーシップ、楽器業界の中でもこれまで他の追随を許さない先進的な製品を生み出してきました。ギブソン・ブランズのポートフォリオには、ナンバーワンギターブランドであるギブソンをはじめ、エピフォン、クレイマー、スタインバーガー、ギブソン・プロオーディオのKRK システムなど、最も愛され、有名な音楽ブランドの多くが含まれています。ギブソン・ブランズは、何世代にもわたって音楽愛好家がギブソン・ブランズによって形作られた音楽を体験し続けることができるように、品質、革新、卓越したサウンドを実現していきます。
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