ギブソン・ギタリスト偉人伝: スティーヴ・ジョーンズ

2019.04.01 - 特集記事

今回はGibson.comによるアーカイヴ記事(2017年9月当時)をお届けします。

スティーヴ・ジョーンズは純粋に言って、史上最も影響力のあるロックンロール・ギタリストであるかもしれません。何ですって!? 私は本当にそう言いましたっけ? はい、実際に今、そういいましたとも。理由はあります。スティーヴ・ジョーンズは極めて重要な1枚のアルバムに参加したに過ぎません。しかし、そのアルバムとは、セックス・ピストルズの傑作、Never Mind The Bollocksだったのです。そのアルバムには多くの音は収められていませんでした。たったの35分間の長さでした。しかしながら、ジョーンズの燃え盛るレスポールの唸りはピストルズの二ヒルな態度と相俟って、パンクス達にとって引続きThe 101ersと同義であり続けています。あのギターサウンドは、多くのメタルギタリストにとってもベンチマークなのです。勿論、彼の演奏は根本的にはチャック・ベリーのリックの焼き直しだったかもしれませんが、当時彼のようにプレイしていた人はいなかったのです。

勿論、他にもより影響力のあるギタリストは大勢います。ヘンドリクス、クラプトン、チャック・ベリー、レス・ポール、BBキング、トニー・アイオミ、他にも皆様のお気に入りのギタリストを挙げられるでしょう。そして、こういったギターヒーローとともに歴史的な名作や吹き込みといった作品群が話題に登ることになるでしょう。しかしながらスティーヴ・ジョーンズの場合、話題に登るのは例の35分間でしょう。彼はただ登場しやってのけたのです。驚くべき事実です。

Gibson Guitar Greats: Steve Jones

ましてや、ジョーンズはひょんなことからギタリストになったわけです。彼は10代の頃、バンドを結成しようと決意しました。The Swankersという名のバンドです。彼はそこではシンガーでしたが、バンドのギタリストであったWally Nightingaleがバンドを脱退し、新たなマネージャーとなったMalcolm McLarenの指示によりギターを手にしたに過ぎなかったのです。そして、ジョーンズが“Johnny Rotten”と名付けた新シンガーがシンガーの座につき、彼はギター担当となったのです。

2002年、Sex-Pistols.netでのインタビューにおいてジョーンズはこう認めました。“ギターは、ピストルズの最初のギグを行う前の約3ヶ月で何とか学習したんだろうな。それ以前、ギターについては何も知らなかったんだ。ちょっとしたにわか知識以外はね。だから、自分でやっていることが分かってなかったよ。その3ヶ月でやっていたことなんて当時分かってなかったな。 ただ単に弾くスピードを上げて、何度も何度も2-3枚のレコードに合わせて弾いていたものだよ。The StoogesのRaw PowerやNew York Dollsの1枚目のアルバムなどだね”

ジョーンズの実際のお気に入りのギタープレイヤーは多岐にわたります。但し、彼は決してそういったプレイヤーをただ模倣しようとはしませんでした。ジョーンズはGibson.comにこうコメントしました。“Mick Ronsonからは間違いなく影響を受けたね。デヴィッド・ボウイの大ファンの少年でしたから。当時のグラムロックのムーヴメントもね。そして、フェイセズのRonnie Woodはティーンエイジャーの頃の大のフェイヴァリットのひとりでしたね。Pete Townshendにも間違いなく影響を受けたね。ですが、Mick RonsonやRonnie Woodほどではなかったですね。フェイセズは自分のバンドと同様の感じでしたね。The Whoについては、当時既に長年にわたり知っていたので、Pete Townshendから今は何も拝借はしていませんね。彼は素晴らしいギタープレイヤーで見事なソングライターですよね。Roxy Musicについて、今挙げてきた3つのバンドは少年の頃のお気に入りのバンドでしたね。彼らの行くところどころによく追っかけをしていたものですよ”

“そして、Mott the Hoopleですね。Mick Ralphsは偉大なギタープレイヤーでしたね。Freeも大好きでしたよ。我々の登場よりちょっと前でしたけどね。Paul Kossoffも偉大なギタリストだと思ってましたね。Status Quoもあったね。まだ他にも偉大なバンドがあったね” 70年代に多感な時期を過ごしたイギリスのギタリストにとって、多くのクラシックなテイストをもった偉大なバンドが存在していました。しかしながらどういうわけか、ピストルズは、結局は、そういったバンド達とは似ても似つかないサウンドになってしまったのです。

試聴必須の楽曲リスト

本当に試聴必須なのは例のたった1枚のアルバムです。Never Mind The Bollocksは実質的に3人で収録されていました。バンドはベストを尽くし、新規加入のSid Viciousをスタジオに近づけないようにしていました。Glen Matlockはピストルズの最高のリフの多くをジョーンズと共作していましたが、性格不一致により収録時に既にバンドを追い出されてしまっていました。ジョーンズは後に、Matlockがピストルズに不似合いだったことについて、ホテルの部屋で足を洗う彼の習慣に至るまでを風刺画に描き表しました。

ジョーンズは後にこう説明しました。““Sid [Vicious]はアルバムの収録に参加したがっていたんだ。我々バンドメンバー達は全力で彼がスタジオの近辺に寄り付かないよう阻止したんだ。幸運にも彼はその頃、肝臓炎もちだったんだ” シドの怒りをなだめようと、彼のベース音はごく僅かにミックスに加えられました。(“楽曲‘Bodies’でシドがプレイしようとする様子が収められています”) しかし、アルバムの大半は、ジョーンズによりギターとベースが演奏されました。振り返ってみると、ピストルズは“演奏ができない”バンドとしてずっとバカにされてきたと言う事実は困惑を誘うものです。ジョーンズとドラマーのポール・クックについては、その内容はシンプルであったとはいえ演奏はできたのです。ピストルズの初期のデモをプロデュースしたセッションギタリストのChris Speddingはこう回想しました。“ピストルズの面々が演奏できないという類の話はくだらないよ。プロデューサーのMickie Mostがピストルズを聞いた時、ギタリストは私だろうと思ったんだ。Chris Thomasだってそう思ったんだ。だけれど、ピストルズは実際には演奏できたんだよ”

ジョーンズは今年、Yahoo! Backspinにこうコメントしました。“あれはベストなタイミングでのレコーディングだったんだ。私はライヴでプレイする以上にレコーディングの方が楽しめるんだ。あの時は最高のサウンドを創造したんだ。‘ロックンロールしようぜ。ドラムのサウンドなんて誰も気にしちゃいないぜ’といった感じでは全然なかったんだ。Chris Thomasを迎えた理由はそこにあるんだ。私やCookyは初期のRoxy Musicの大ファンだったし、彼はロキシーミュージックのアルバムを2枚プロデュースしていたんだ。Chris Thomasは素晴らしかったよ。エンジニアのBill Priceも忘れちゃいけないね。クリスが私達をどう思っていたのかは知らないよ。彼はちょうどElton Johnの新作かなにかを終えたばかりでしたが、クリスもビルもピストルズのやっていることに適応してくれたんだ。最初に‘God Save The Queen’の最終ヴァージョンを聴いた時、最高だと思ったね。でもね、40年も後になって、それについて人びとが話題にするなんて想像だにしなかったね”

Eagle Rockのクラシックアルバムについての動画ドキュメンタリーの中でトーマスは、ギターパートのオーケストレーションについて実際にどのように取り組んだのかを回想しています。しかしながら、剥き出しの才能は既に眼前にあったのです。コ・プロデューサーとして主にジョーンズによる数トラックを記録することになった今は亡きBill Priceはこう述べました。“Steve Jonesは今も昔も、かつて聴いたことのあるギタリストの中で最もタイトなプレイが持ち味のリードギタリストなんだ” PriceはThe Clash、The Cult、ミック・ロンソン在籍時のデヴィッド・ボウイ、それにGuns N’ Rosesのレコーディングでエンジニアを務めたりミキシングを担当してきた人物なのです。実に、ジョーンズの飛び抜けてメトロノミックな才能は顕著だったので、ギターパート録りの後に更にベースパートもレコーディングし、そのタイム感はドンピシャリだったのです。リズムトラックは左右チャンネルともに再現したテイクでした。そのことについて、トーマスはこう発言しました。あれはステレオというよりむしろ“モノ・デラックス”だと。彼はこう主張しました。“あれこそが正にセックス・ピストルズのサウンドさ。バレーコードさ。ベースは1オクターヴ下で同様のプレイをするんだ。Eのコードでね!” そのサウンドは今もって、かつてレコーディングされたサウンドの中でも最上のロックギターサウンドのひとつに数えられるのです。

ピストルズ解散以降、ジョーンズとドラマーのポール・クックが結成したThe Professionalsは、 I Didn’t See It Coming (1981)をリリースしましたが、それはよりニューウェイヴ寄りでピストルズの一作(NMTB)で示されていた残忍性は鳴りを潜めていました。あらゆる状況においてジョーンズは、ボブ・ディランからイギー・ポップといったあらゆるミュージシャンのアルバムに参加し、数作のソロアルバムを収録しました。再度ピストルズのサウンドに肉迫することになるのは、Neurotic Outsidersによるバンド名と同名のアルバムでのことです。そのアルバムは、ガンズ・アンド・ローゼズのMatt SorumにDuff McKagan、デュラン・デュランのJohn Taylorとともに主にジョーンズが主導したアルバムでした。ジョーンズにまつわるストーリーに関心のある方は、2016年刊行の回顧録、Lonely Boyをお読みください。

スティーヴ・ジョーンズとギブソン

ジョーンズはかつて悪名高いほどに手癖が悪く、多くのギターが彼の手中に紛れ込みました。ところが、Never Mind The Bollocksのサウンドはすべてギブソンなのです。彼のメインのギブソンギターは、オフホワイトフィ二ッシュの‘74 Les Paul Customでした。目立った点について、そのギターの下方には2人の女性モデルのステッカーが貼ってありました。元々は、The New York DollsのSyl Sylvainが飛行機代を支払う代わりに、the Dolls のマネージャーであったMalcolm McLarenへ手渡していたギターだったのです。(事情については長いストーリーとなるためここでは割愛します!) McLarenはピストルズのマネージメントを引き継いだ1975年頃、ジョーンズへそのギターを渡したのです。それはそうだったとしても、ジョーズは数年間の間で5~6本のクリームカラーのカスタムを所有していたと語っています。2008年、ギブソン・カスタムはリミテッドランにより、エイジング処理が施されたゴールドパーツを伴った、ジョーンズのメイン機のカスタムのレプリカを生産しました。

ジョーンズはまた、黒いレスポール・カスタム、ダブル・カット・レスポール・スペシャル、そしてフライングVもプレイしていました。(スタジオにて、彼がピストルズの悪名高き“I Hate Pink Floyd”と書かれたTシャツを着ている写真が残っています) そして、ピストルズのラストギグでは彼はファイアーバードVをプレイしました。しかしながら、何故彼がレスポール好きなのかについて、高尚な分析を期待しないでください。“Wally (Nightingale)からレスポールをぶん盗ったんだ” とジョーンズはSex-Pistols.netに語りました。“いつだってレスポールに夢中だったんだ。ただレスポールが好きでね。レスポールはより大柄だしね。まあ、知らないよ。レスポールは他のどんなモデルよりも分厚いサウンドだったからさ”

突き詰めていくと、正確な機材を入手することにより、皆様がスティーヴ・ジョーンズのように正確にプレイできるようになるということではありません。(注: 彼はサウンド追及のため、ツイン・リバーブ・アンプにGaussスピーカーが仕込まれていると信じています。音楽仲間でThe CultのBilly Duffyは懐疑的ではありますが。ビリーはそれは嘘だと言いこうコメントしています。“思うに、スティーヴは今も変わらずマーシャルを使っていると思うよ”) スティーヴは自身のギタースタイルについてこうコメントしました。“私のようにプレイしたがるプレイヤーはいっぱいいますよ。しかしながら、同じようにプレイできるヒトなんていないよね。イギー・ポップによれば私はRobert Mitchumのパンク版なんだ”

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ギターブランドとして世界でもっともアイコン的な存在であるギブソン・ブランズは、今まで100年以上に及びジャンルを越え、何世代にもわたるミュージシャン達や音楽愛好家達の最高のサウンドを創造してきました。1894年に起源をもち現在はナッシュヴィルに本社を構えるギブソン・ブランズは、ワールドクラスのクラフツマンシップ、伝説的音楽の創造との密接な結び付き、そして革新的な製品開発など、これまでに脈々と受け継がれてきた伝統とレガシーを誇り、楽器メーカーの中で突出した存在感を示してきました。ギブソン・ブランズの製品ラインには、ギターブランドとして頂点に位置するギブソンに加え、エピフォンやギブソン・プロオーディオ部門のような、製品の存在感とともにファンに愛され続けている多数のブランドも含まれています。ギブソン・ブランズは、未来の音楽愛好家達がこれまでと同様にギブソン・ブランズの楽器によって創造された音楽を体験していただけるよう、クオリティ、革新性、卓越したサウンドの実現に全身全霊を注ぎます。

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