THE COLLECTIONとはTAOS (The Art of Strings) に登場するギタリストが所有、愛用するギブソンを紹介するシリーズです。

● 1959年製 Les Paul Standard

こちらは伊藤一朗氏が取材のために持参してくれた本人所有の1959年製オリジナル・レスポール・スタンダード。
1958-60年にかけてトータル千数百本が製造されたサンバースト・レスポールは、長い歴史を持つレスポール・シリーズ、そしてヴィンテージ・ギター全体の頂点に位置するエレクトリック・ギターとしてプレイヤー、コレクターの熱い支持を集めている。1959年製となるこのギターは、長年ギター・コレクターが所有していたと思われる良好なコンディションが保たれている。実際のところ50年代のサンバーストで強いフレイムが入ったギターは限られている中で、このギターのボディ・トップには見る角度や光の入り方によって見え隠れする美しいフレイムを確認することができる。サンバースト・リムは外側へと広がっているものの、赤味が残った状態が保たれていて、ボディ・バックのチェリー・カラーを見ても長年ケースに収められた状態で保管されていたものだろう。
伊藤氏が手に入れた時には、ほぼオリジナルの状態が残されていたが、「ギターはプレイしてナンボ」と断言する本人のリクエストに沿って、ナット、フレットの交換及び指板の再調整が行われた。チューナーはオリジナルのクルーソン社製だが、破損しやすいツマミ部分のみが交換されている。いわゆる59年グリップよりもややスリムな印象を受けるネックは驚くほど良いコンディションが保たれている。個体差が大きいことで知られるPAF
ピックアップは、両方とも抵抗値は大きく出力は高い。また、ピックアップのドライヴ・ポイントは低く、歪みやすいギターで、本人も「フリーのポール・コゾフと同じ音がする」と語っている。
今回の撮影は叶わなかったが、伊藤一朗氏が使用するもう1本のレスポールが1974年製レスポール・カスタムで、この時期から登場したアイボリー・カラーはランディ・ローズが使用したことで知られている。また、1974年はレスポール・カスタム発売20周年に当たる年だったので、15フレット・インレイにそれを示す文字が彫り込まれている。この時期に発売されていたレスポール・モデルはレコーディング、デラックス、カスタム。つまり、スタンダードが作られていなかったので、多くのロック・ギタリストはレスポール・カスタムを手にした。
| OWNER |
MODEL DESCRIPTION |
YEAR OF MANUFACTURE OR SHIPPING |
SERIAL NUMBER |
NUT WIDTH |
NECK THICKNESS |
BODY THICKNESS |
STRINGS HEIGHT@12TH FRET |
PICKUP DC |
WEIGHT |
STRINGS |
| 1st |
11th |
NECK |
END |
LOW-E |
HIGH-E |
NECK |
BRIDGE |
| ICHIRO ITO |
LES PAUL STANDARD |
1959 |
9 1979 |
42.66mm |
22.71mm |
25.10mm |
50.73mm |
48.59mm |
2.0mm |
1.6mm |
8.25K |
8.18K |
4.30kg |
.010-.046 |
文:關野淳(ヴィンテージギター・エキスパート、ライター)
ギター・インスペクション:福嶋優太 Gibson Brands Japan