2017 Gibson Les Paul Studio vs Les Paul Standard

Michael Leonard | 2019.06.13 製品記事

今回はGibson.comによるアーカイヴ記事(2017年2月当時)をお届けします。

ギブソンではよくあるケースですが、皆様が新しいレスポールを選ばれる際、単純に2機種のうちどちらかを選ぶような選び方とはならないでしょう。このレスポールも良さそうだし、もう一方のも良さそうだし、派手な見栄えの一本も良いだろうし、馬車馬のように使い倒せそうなあの一本も良さそうだし、ものすごく価値が高いモデル群も気になるし、豪華な仕上がりの選択肢も気になる、ということだと思います。

こういった状況は、2017 Les Paul Studioと2017 Les Paul Standardのようにたった2機種のモデルだけを見ても当てはまります。これらの2機種を両機種ともによく見てみましょう。2017年時点では、Traditional(トラディショナル)仕様となります。HP(ハイパフォーマンス)仕様は、クロームパーツ、G Forceチューナー、ソロイストネックを擁し、リリースはまだ少し先の予定となります。

Les Paul Studio TLes Paul Standard T の数点の相違点は見た目であったり、ある部分はフィーリングであったり、また他の部分ではトーン傾向の違いであったりします。しかしながら、実のところ、両者ともに最高のギターであることに変わりはないのです。以下で互いの相違点を列挙いたします。


ボディ

ボディについて、明確な相違点をご確認いただけるでしょう。

* Les Paul Studio(以下の左側写真)では1Aグレードのプレインメイプルトップが使用され、ボディ側ネック側ともにバインディングが施されていません。

* Les Paul Standard(以下の右側写真)では3Aグレードのフレイムメイプル・フィガードトップが使用され、バインディングが施されています。ネック側についてもバインディングが巻かれています。

 

それらの相違点以外については、これら両モデルのボディとネックではギブソンの伝統的な製法に基づきトーンウッドであるマホガニー材が使用されています。どちらのモデルの方が“より良い”のでしょうか? こればかりは皆様それぞれのお好みによるところが大きいでしょう。勿論、3Aグレードのフレイムメイプルのほうであればお値段が張ることにはなるのですが。


ネック

バインディングの有無によるヴィジュアルの違い以外では、スタジオもスタンダードもネックについては一見大きな違いは無さそうに見えますし、両方ともローズウッド指板上に伝統的なギブソンの台形の指板インレイが施されています。

折角ですから両モデルとも手にとってみましょう。そうすればちょっとした違いが感じ取れるでしょう。

* Les Paul Studioでは伝統的なスリムテイパーネックのデザインが採用されています。

* Les Paul Standardでは左右非対称のスリムテイパーネックが採用されています。

両モデルともに、ギブソンが“モダン”ネックと位置づけるネックが採用されているのですが、スタンダードモデルの非対称ネックについてはプレイヤーの親指が接する部分に沿って僅かながら膨らみがもたせてあります。そのことにより、長時間に及ぶセッションでも指の疲労を軽減できるようになっているのです。勿論、この特殊なネックデザインに基づいて忠実に製造することはより手間とコストのかかる工程になっているのです。

加えて、スタンダードの方ではコンパウンド・レイディアス指板のデザインを採用しています。指板上のカーヴは、ハイフレットのポジションになるにつれて徐々に平たくなるように設計されています。スタジオの方は、指板の全長にわたり標準的なカーヴとなるよう、より伝統的なデザインが施されています。もし、皆様がスタジオとスタンダードのネックデザインの違いやフィーリングの違いに即座に気付かれたのならば、おそらくはこれらがその理由でしょう!


重量

両モデルとも、ギタープレイヤー達にとって馴染み深いクラシカルなレスポールのボディデザインやボディ構造に基づいて製造されています。但し一点、スタジオのボディはスタンダードよりも若干薄型の形状となっています。レスポール・スタジオもレスポール・スタンダードのどちらもウルトラ・モダン・ウェイト・リリーフ・ボディを採用しており、長時間にわたるギター演奏を容易にしている点や僅かに付加された響きを伴う点によりプレイヤー達に好評をいただいています。ウルトラ・モダン・ウェイト・リリーフ・ボディでは、モダン・ウェイト・リリーフ・ボディと同タイプのくさび状にボディ材を切り抜く手法が使われていますが、くさびの横幅を幾分拡張する改良が施されています。


ピックアップとコントロール

この点では大きな相違点があります

* レスポール・スタジオではGibson 490R and 498Tハムバッカーが搭載されています。

* レスポール・スタンダードでは Burstbucker Pro Rhythm Burstbucker Pro Leadハムバッカーが搭載されています。

これらのハムバッカーでは、ヴィンテージ期ギブソンの神聖なるPAFピックアップと同様に、アルニコ・マグネットと不均一に巻かれたミスマッチの状態の2個のコイルが使われています。これらのピックアップはスタジオに搭載されたピックアップよりも僅かに大きめな出力を誇ります。しかしながら、スタンダードモデルにより一層の違いをもたらしているのはむしろコントロール類の方なのです。

両モデルともに伝統的な2基のヴォリュームと2基のトーンによるコントロール構成となっており、2基のヴォリュームポットはプッシュ・プル・タイプのポットが採用されコイルタップサーキット搭載となっているのですが、スタンダードモデルではそれにプラスして、フェイズ切り替えやピュアバイパス(回路類をバイパス処理)のためのプッシュプルスイッチがマウントされています。

先ずはこれら両モデルのコイルタップサーキットを試してみましょう。昔にあったような、ヴォリュームを減退させギターサウンドを痩せさせるような旧式のコイルタップとはわけが違いますよ。そうではなく、チューンアップされたコイルタップは標準的なシングルコイルピックアップと比べ、シングルコイルのトーンにより豊かなトーンキャラクターを付加しトーンの脆さを排除しているのです。

スタンダードモデルに追加搭載されたプッシュプルスイッチはどうでしょう? これは使えますよ! ピュアバイパス(回路類をバイパス処理)の機能により、ピックアップからアウトプットジャックまでヴォリュームコントロールとトーンコントロールをバイパスしてダイレクトにシグナルが出力されるのです。実際問題として、スタンダードモデルは2種のプリセット機能を持ったギターといえるでしょう。ピュアバイパスの場合とピュアバイパスを選択せずヴォリュームやトーンが作動している場合の2通りのサウンドをお楽しみいただけるのです。


弦巻きとブリッジ

スタジオモデルもスタンダードモデルもグローヴァー・チューナーを搭載しています。しかしながら、スタンダードの方は更に信頼性の高いロッキングチューナーが搭載されています。両モデルとも、ブリッジとテイルピースにはスチール製のサムホイールとともにアルミ製のチューン・オー・マティック・ブリッジが搭載されています。


コントロールノブ

もし皆様がスタジオモデルはより機能性に優れたレスポールだとお考えでしたら、スタジオモデルのスピードノブの部分でそれを実感いただけるでしょう。スタンダードモデルではアンバーカラーのトップハットノブが搭載され、より洗練された風合いを醸しだしています。


カラーとパーツ

* スタジオモデルは3色のカラーヴァリエーションを揃えています。ワインレッド、エボニー、ブラック・チェリー・バーストです。ワインレッド色のスタジオはクリーム色のエスカッションとピックガードが搭載されています。エボニー色とブラック・チェリー・バースト色のほうはブラックパーツが搭載されています。

* スタンダードモデルのほうはAAAグレードの鮮やかなフレイム杢によるメイプルトップを擁し、その杢を一層引き立てる贅沢なカラーヴァリエーションを揃えています。ヘリテイジ・チェリー・サンバースト、ハニー・バースト、バーボン・バーストそしてブルーベリー・バーストの4色です。これらは全て杢を引き立てるような透けたカラーリングとなっており、パーツ類はクリーム色で統一されています。


スタジオかスタンダードか? お好きな方をどうぞ...

私達ギタリストは皆、ギターの見栄えに惑わされることなどないと信じたいですね。ただサウンド面と演奏性の点が大事なんだと。しかしながら、それは真実ではないですよね。多くのプレイヤーにとって、付加的なピュアバイパスの機能や数々のスイッチングの選択肢など、そういった要素はギター選びに影響を与えるような美意識と関わることになるでしょう。

今なお、どちらが良い、悪いということではありません。個人的には、エボニーフィニッシュのレスポール・スタジオの飾りっ気のない潔さが堪りません。しかしながら同時に、レスポール・スタンダードのバーボンバーストに心が揺れているのも事実なのです。皆さんはどうでしょう? レスポール・スタンダードのトーンの選択肢の幅広さに大きな魅力と価値を見出しているプレイヤーもたくさんいることは想像に難くありません。ええい、こうなったら1本ずつ2本買いするしかないか!

根本的にはスタジオもスタンダードも、現代のギタープレイヤー向けの、見事なまでにアップグレードされた仕様を誇るレスポールなのです。ギタートーンの点では、スタジオもスタンダードも両方ともチューンアップされたコイルタップ機能を持っていることが特徴であり、両モデルで採用されたウルトラ・モダン・ウェイト・リリーフ処理(ボディの重量軽減処理)により苦も無く長時間にわたる演奏を可能にしているのです。

スタジオにはお値打ち感、スタンダードには豪華さが魅力となりますが、ことトーンや演奏性について言えば、両モデルともに同じ世界に属しているといえます。その意味するところは、正真正銘のギブソン・レスポールでなければたどり着くことの出来ない価値なのです。

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ギブソンについて

ギターブランドとして世界でアイコン的な存在であるギブソン・ブランズは、創業から120年以上にわたり、ジャンルを越え、何世代にもわたるミュージシャン達や音楽愛好家のサウンドを形作ってきました。1894年に設立され、テネシー州ナッシュヴィルに本社を置き、モンタナ州ボーズマンにアコースティックギターの工場を持つギブソン・ブランズは、ワールドクラスのクラフツマンシップ、伝説的な音楽パートナーシップ、楽器業界の中でもこれまで他の追随を許さない先進的な製品を生み出してきました。ギブソン・ブランズのポートフォリオには、ナンバーワンギターブランドであるギブソンをはじめ、エピフォン、クレイマー、スタインバーガー、ギブソン・プロオーディオのKRK システムなど、最も愛され、有名な音楽ブランドの多くが含まれています。ギブソン・ブランズは、何世代にもわたって音楽愛好家がギブソン・ブランズによって形作られた音楽を体験し続けることができるように、品質、革新、卓越したサウンドを実現していきます。

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