ギブソンからアメリカの伝説のブルースマン “スリム・ハーポ”のシグネチャーモデル『Slim Harpo “Lovell” ES-330』がリリース

2021.04.02 ニュース

 

この度ギブソンは、アメリカの伝説のブルースマン スリム・ハーポのシグネチャーモデル『Slim Harpo "Lovell" ES-330』のリリースを発表します。新作『Slim Harpo"Lovell" ES-330』は全てテネシー州ナッシュヴィルにあるギブソンUSAの熟練のルシアーとアルティザンによるハンドメイドです。

伝説のブルースマン、ジェームス・"スリム・ハーポ"・ムーアへのオマージュとして、ギブソンUSAはハーポが愛用していたGibson ES-330を新たに『Slim Harpo "Lovell" ES-330』として蘇らせました。『Slim Harpo "Lovell" ES-330』は、メイプル/ポプラ/メイプルの3プライ構造のトップ・バック・サイド、スプルース・ブレーシング、ラウンドCプロファイルのマホガニー・ネック、スモール・ブロック・インレイ付きローズウッド指板、トラピーズ・テールピースにABR-1ブリッジ、ホワイト・ボタン・ヴィンテージ・デラックス・チューナーを採用しています。エレクトロニクス部では、ドッグイヤータイプのP90ピックアップとオレンジ・ドロップ・キャパシターを使用したハンドワイヤリングのコントロールを装備しています。また、スリム・ハーポの愛妻であり、当時マネージャーとして多くのヒット曲を共に作曲してきたラヴェル・ムーアに敬意を表して、ヘッドストックの裏側に「Lovell」のカスタム・ロゴが施されています。

アメリカのブルースシンガー、ケブ・モがスリム・ハーポについて語ったビデオはこちらです。(英語)

 

スリム・ハーポとその音楽のストーリーは、ブルースとR&Bの音楽史において特に興味深いものです。スリム・ハーポは、ブルース、ロックンロール、ソウル、スウィング、さらにはカントリー・ボーカルを融合させ、ルイジアナ・スワンプ・ブルースと呼ばれるサブジャンルの先駆者となりました。彼の楽曲のうちトップ・チャートを飾った曲は、彼の人生と同様に短命でしたが、彼はその後の音楽に多大な影響を与えました。亡くなってから51年が経過した現在まで、何世代にも渡って著名なアーティスト達に影響を与え、スリムは“ブルース界の知られざるヒーロー”と呼ばれています。

スリム・ハーポは、1924年ルイジアナ州バトンルージュからミシシッピ川を渡ったところにあるベルモント農園のサトウキビ畑に囲まれた地域で生まれました。通称ジェームズ・アイザック・ムーアは、オリジナルのダウンホーム・ブルースマンの最後の一人であると同時に、ポップ・チャートでヒット曲を出した最初の一人でもありました。

スリムは1957年、"I'm a King Bee "の録音で鮮烈なデビューを飾りました。妻でありマネージャーであるラヴェルの助言に反してプロに転向しましたが、当時の生活は厳しいものでした。ラヴェルは、彼のライブのブッキングや楽曲の共同制作(彼女の名前はほとんどクレジットされていませんが)、また国内のツアーにも同行して彼の音楽活動を支えました。

スリム・ハーポ

 

スリム・ハーポ(左)と愛妻ラヴェル・ムーア(右)

 

キンクス、ヴァン・モリソン、オーティス・レディング、マディ・ウォーターズ、ニール・ヤング、ハンク・ウィリアムズ・ジュニア、グレイトフル・デッド、ファビュラス・サンダーバーズなど、何世代にもわたって多くのミュージシャンがスリム・ハーポの歌に影響を受け、彼の楽曲をレコーディングしてきました。 ローリング・ストーンズのミック・ジャガーが「スリム・ハーポを聴くことができるのに、俺たちの曲を聴いてどうするんだ」と言ったことは有名な話です。

1961年、ハーポは当時ジャンルのカテゴライズが難しい「Rainin' In My Heart」という曲で、R&Bとポピュラー音楽のチャートにクロスオーバー的に入りました。このヒットがきっかけで、1961年にはアメリカの人気音楽TV番組「アメリカン・バンドスタンド」に出演を果たしました。

その後、テネシー州ナッシュヴィルのエクセルロ・レコードからリリースされたブルース・ソングは、プロデューサーのJ.D.ミラーとともにルイジアナ州クロウリーで録音されたもので、のちにローリング・ストーンズやヴァン・モリソンなどにカバーされています。

スリムは、そのゆったりとした物腰とは裏腹に熱い野心を持っていました。1966年、スリムがソウルフルなリズムの曲「Baby, Scratch My Back」でビルボードのR&Bチャートで1位、ホット100シングル・チャートで16位を獲得した時、彼は自分の音楽の新鮮さを保つためには、よりエレガントなギター・グルーヴが必要だと考えるようになりました。そうしてスリムはギブソンのES-330を購入し、昼夜を問わず練習に励みました。1967年、スリムはエクセルロ社との契約を更新し、テネシー州メンフィス、ナッシュヴィル、アラバマ州マッスル・ショールズのセッション・バンドと活動を開始します。その後、「Tip On In」、「Te-Ni-Nee-Ni-Nu」などのギターを中心としたヒット曲や、「Mailbox Blues」、「Dynamite」、「Jody Man」、「The Music's Hot」などの記憶に残るブルース曲など、人気の高いヒット曲が次々と生まれました。

スリム・ハーポは、ロサンゼルスのウィスキー・ア・ゴー・ゴーやニューヨークのフィルモア・イーストなど全米各地で演奏を行いました。スリム・ハーポは、ジェームス・ブラウンのツアーに参加したり、ロックバンドと共演したりしていましたが、いつもギブソンのギターを愛用していました。しかし、1970年春のヨーロッパ・ツアーを控えていたスリムは、同年1月に46歳の若さでこの世を去ってしまいます。

ハーポは、人生の大半をルイジアナ州で過ごし、サトウキビや鉄くずを運ぶ仕事をしていましたが、ニューヨークやロサンゼルスの有名ロックバンドの中では、彼の存在感は決して小さくはなかったのです。ハーポは控えめで穏やかな性格でしたが、常に洗練された演奏スタイルを披露しました。亡くなった今も、常にクオリティの高い安定したブルースの作品であることが分かります。

ハーポの音楽は、本質的には純粋なブルースでありながら、ソウルやカントリーのスタイルも取り入れています。
聴きやすく、聴き心地が良く、それでいてスリムの音楽には、何世代にもわたって演奏者を魅了し続ける根源的な強さがあります。

スリム・ハーポの成熟したソウルフルなリフに影響を受けたアーティストは、まさにロックの殿堂入りを果たしたような一流ミュージシャンばかりです。スリム・ハーポは、あまりにも早くこの世を去ってしまいましたが、アメリカの真のオリジナル・アートとして受け継がれていきます。キング・ビー(スリム・ハーポ)の遺産は、私達が良く知っている多くのプレイヤーに影響を与え続けています。

Slim Harpo Lovell ES-330のヘッド裏の“Lovell”サイン

 

Slim Harpo Lovell ES-330

 

Slim Harpo Lovell ES-330

 

【名称】 Gibson Slim Harpo "Lovell" ES-330
【参考価格】 423,500円(税込)
【発売開始時期】 発売中
【国内ギブソン正規販売店】 https://gibson.jp/store-locator 
【製品ページ】 Slim Harpo “Lovell” ES-330

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ギブソンについて

ギターブランドとして世界でアイコン的な存在であるギブソン・ブランズは、創業から120年以上にわたり、ジャンルを越え、何世代にもわたるミュージシャン達や音楽愛好家のサウンドを形作ってきました。1894年に設立され、テネシー州ナッシュヴィルに本社を置き、モンタナ州ボーズマンにアコースティックギターの工場を持つギブソン・ブランズは、ワールドクラスのクラフツマンシップ、伝説的な音楽パートナーシップ、楽器業界の中でもこれまで他の追随を許さない先進的な製品を生み出してきました。ギブソン・ブランズのポートフォリオには、ナンバーワンギターブランドであるギブソンをはじめ、エピフォン、クレイマー、スタインバーガー、ギブソン・プロオーディオのKRK システムなど、最も愛され、有名な音楽ブランドの多くが含まれています。ギブソン・ブランズは、何世代にもわたって音楽愛好家がギブソン・ブランズによって形作られた音楽を体験し続けることができるように、品質、革新、卓越したサウンドを実現していきます。

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