文:オカミ・タカヒデ
撮影:Ryoma Kawakami
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例年以上に暑かった夏も過ぎ、秋が深まる10月の最終週末。埼玉県東松山市にあるCOEDOクラフトビール醸造所の広大な敷地で『麦ノ秋音楽祭2024#Seeds』が開催された。年2回行われるこのイベントは、ビールと音楽、自然を存分に楽しめる特別なフェスとして、多彩な層から支持を集めている。今年5月の参加に続き、今回もギブソンがプロデュースする『Gibson Lager Stage (ギブソン・ラガー・ステージ)』には多くの音楽ファンが集まっていた。今回はイベント初日となる10月26日の模様を、同ブランドのギターを愛用し、現在はFaulieu.とReplaysバンドのリード・ギタリストとして活躍するKahoが現場をレポート!普段はプレイヤーとしてステージに立つKahoがinstax WIDE 400™で撮影した写真と共にお届けする。

イベントの幕開けはライブ・ペイント・パフォーマンス

秋の空気が心地よい会場は、都心から1時間ほどでアクセスできる便利な立地。周囲に高い建物はなく広い空をどこまでも眺めることができる。事前には雨予報が出ていた同日だったが、音楽の神様のおかげか、薄い雲が流れるとても過ごしやすい日となった。そのこともあり出演ミュージシャンのファンはもちろん、家族連れやペット同伴の来場者も多く訪れ、賑わいを見せていた。
今回が初参加となるKahoも「とても広くて、自然も多くてビックリです。でもこんなところでビールを呑みながら音楽が聴けるなんて素敵ですね。私もビールを呑みながら楽しみたいです!」と早くもワクワクの様子。

そんなイベントの幕開けを飾ったのは、アーティスト/ライブ・ペインディング・パファーマーの近藤康平が内澤崇仁(androp)の演奏に合わせてライブ・ペイントを行なうパフォーマンス。内澤の演奏に合わせ、真っ白なキャンバスに鮮やかな色彩が次々と描かれ、完成したのはビールを掲げて乾杯する人々の姿。

さらに、イベント限定として発売されたCOEDO BREWERYとギブソンのコラボレーション・ビール2種のラベル・デザインも、近藤氏の筆によるもの。今回のアートワークについて近藤氏にお伺いしたところ、「 “American Rock” はギターの音と泡が弾けるイメージで人物にフォーカスし、“British Rock”は童話が浮かぶようなロンドンでのワンシーンをイメージしながら描きました」とコメントを寄せてくれた。どちらにもギブソンを象徴するエレキ・ギター、「レスポール」が描かれているのが印象的だ。2本ともイベント開催中に売り切れてしまうほど、来場者にも人気を博していた。

そして、このライブ・ペイントが行なわれたステージが、ギブソンがプロデュースする『Gibson Lager Stage (ギブソン・ラガー・ステージ)』に変わり、ギブソンのギターを愛用するアーティストがここに集った。このラガー・ステージは、メインとなるエール・ステージよりも、さらにオーディエンスと距離が近い舞台なのが特徴。そのためミュージシャンが鳴らす楽器本来の音をよりリアルに聴くことができる。普段のライブとはまた違ったこの距離感は、ファンにとってとても貴重であり、嬉しいものだろう。

ギブソン・ラガー・ステージの最初のアーティスト、水上えみり(なきごと)が魅せるアコースティックライブ

ステージ前の草はらに来場者が集まり最初に登壇したのは、なきごとのボーカル&ギタリストである水上えみり。ギブソン製アコースティック・ギター「ハミングバード」を手に「Hangover」からスタート。柔らかくスッと抜ける歌声に、力強いハミングバードのストロークが重なる切ないナンバーだ。実は高校生の頃からの友人だというKahoは、やさしい視線を水上に送る。「お酒の曲はいくつかあるんですけど、ビールの曲がなくて(笑)。だからこの曲を……」とプレイした槇原敬之のカバー「冬がはじまるよ」では、軽やかな弾き語りアレンジを聴かせてくれた。

これにはKahoも「フェスに合わせたいいカバーでした。ステージを観て、いい意味で変わっていませんでした。えみりの人間味が見えた弾き語りでしたね」と答えてくれた。彼女のチェキプリント™からも、それはきっと伝わってくることだろう。

ライブ演奏後にバックステージで音楽祭の感想やギターについて話を聞いた。

水上:「麦ノ秋音楽祭には本当に音楽が好きで、この空間を楽しみにしている人がたくさん来ているなと思いました。ご家族で一緒に手を叩いてくれる人もいて嬉しかったですし、もっと頑張ろうと思えました。」

「今回ステージで使用したハミングバードは半年前からソロ活動のときに使っています。いろいろな機種を弾いたなかで、以前使っていたアコギよりも少し小さくて、一番しっくりきたのがハミングバードだったんです。これからも弾き語りやレコーディングでも使っていきたいです。今度はぜひバンドで来たいですね。ウチのメンバーはお酒も大好きなので(笑)!」

と、非常に楽しんだ様子で語ってくれた。

オーディエンスを巻き込んだ心温まるパフォーマンスを披露した三船雅也(ROTH BART BARON)

続いては、ベルリンとの二拠点にて活躍する三船雅也(ROTH BART BARON)が登場。彼が手にするのは、大きなボディ・サイズが特徴の「SJ-200」の特別仕様モデル。ディレイやフランジャーを駆使したエフェクティブな音作りで、そこに三船のハイ・トーン・ボーカルが乗り、演劇にも近い世界観が屋外のステージに作られていった。

スポーツ飲料のCM曲にもなった「BLUE SOULS」などをプレイしつつ、特筆となったのは、彼の声に引き寄せられた少年と急遽一緒に演奏した「鳳と凰」だろう。これはまさにファンとの距離が近いラガー・ステージだからこその光景であった。パフォーマンスを見ていたKaho も「普段のライブでは起こらない化学反応が観られた気がします。会場が一体になるということは、こういうことなんだなと思いました」と、ミュージシャンとしてのあり方も感じていた様子だった。

パフォーマンスを終えた三船にもステージの感想を伺った。

三船:「会場に入った瞬間から開放的で、実際にライブをやってみて広い心で楽しんでくれているなと思いました。1曲目からスッと染み込んでくれる感じがあって、やりやすかったです。MCでも言いましたが、こんなにギブソンの話ができるライブはほかにはないですよね。」

「ステージで使ったSJ-200は10年前に買った90年代後半〜2000年初頭のモデルで、ひと目惚れでした。だいぶ個性のあるモデルで、ハイがカリッとしていて現行品とはまた違いますね。僕は少し特殊な使い方をしているんですが(笑)、そのなかでもベースと声の間を埋めてくれるようなサウンドなんです。」

と、パフォーマンス後にも関わらずギブソンのギターの話を嬉しそうに語ってくれた。

MCからパフォーマンスまで、息のあった和田唱(TRICERATOPS)と藤巻亮太のステージ

初日のラガー・ステージの締めは、和田唱(TRICERATOPS)と藤巻亮太によるスペシャル・セッション。年齢やシーンが近いこともあり、仲の良さがそのまま出たステージで、初めて対バンをしたときの話などを、ジョークを交えながら息もピッタリに進行する。乾杯はもちろんCOEDO×ギブソンのコラボ・ビール。トークも体も温まってきたところで始まったのが「Fever」と「南風」。それぞれの楽曲での共演となり、「Fever」では和田の「サザン・ジャンボ」と藤巻の「LG-2」が、これも息のあったストロークでリズムを紡いでいく。「南風」イントロでのアルペジオでは自然と手拍子も沸き起こり、藤巻の「暖かい風を……」という言葉どおり、夕暮れの近づく会場とオーディエンスを、秋の優しい風が包んでいったのだった。

「ふたりの違った個性があふれる歌声に圧倒されました。そして仲の良さがうかがえるMCでは、こちらまで会話に交じれたようで楽しかったです!」というKahoの感想は、きっとステージ前に集まった来場者全員が思ったことだろう。2曲を演奏し終わったふたりは、改めてビール瓶を鳴らしステージを降りたのだった。

2022年にも出演した藤巻と今回初出演になる和田、それぞれに感想と使用したギターについて尋ねた。

藤巻:「お客さんが野外の秋のなかで、音楽を心から楽しんでいましたよね。そのなかで初めて和田唱さんとふたりで一緒にステージに立つことができたのが嬉しかったです。僕らだからこそのグルーヴもあったし、それぞれの持ち味も出せたと思います。」

「ギターはソロになってから購入した、1956〜57年製のLG-2を使ったんです。和田さんも同じギブソンでも機種は異なるので音は違うのですが、それでも相性が良くてすごく気持ちが良くて! ラガー・ステージはお客さんもいい空気で、素晴らしかったですよ。」

和田:「亮太くんとは先輩後輩の関係ではあるのですが、不思議と似ていたりもして、緊張感もありつつリラックスもしながら楽しんで演奏できました。今回使ったサザン・ジャンボは1952年製で、語れば長くなるんですが、紆余曲折あってユースケ・サンタマリアさんから譲っていただいた一本なんです。独特の大きな鳴りがあってすごく気に入っていて、レコーディングでも使っています。」

「僕はデビューしたときにレスポールを持っていて、今もファンの方はそのイメージを持っていてくれているんです。ほかのギターを使うことももちろんあるんですけど、結局自分でもしっくりくるのがギブソンなんです。だからまた呼んでもらえたら、今度はレスポールで出たいですね!」

Kahoが振り返る1日目

たくさんの緑に囲まれ、涼やかな気候のなか行なわれた今秋の麦ノ秋音楽祭初日。「ギブソン・ラガー・ステージ、エール・ステージともに素晴らしいミュージシャンが素敵な音楽を届けてくれて、さまざまなブースでの催しもあり、多くの方が思い思いに楽しんでいたのが見ていてとても素敵でした。いつか私も出てみたいです!」とKahoは振り返る。

今回Kahoが撮影した中でも最もお気に入りの一枚

来場者のなかには、このままテント泊で夜を迎える人も少なくないようで、柔らかくも熱く盛り上がった会場は、明日の音を待ちながらしばし夜に包まれていくのだった。

麦ノ秋音楽祭2024 #Seedst公式サイト:
https://muginotokiongakusai.jp/2024seeds/

COEDO BREWERY公式サイト:
https://coedobrewery.com/

Kahoインスタグラム:
https://www.instagram.com/kaho_tsuji/

なきごと公式サイト:
https://nakigoto.com/

ROTH BART BARON公式サイト:
https://www.rothbartbaron.com/

TRICERATOPS公式サイト:
https://triceratops.net/

藤巻亮太 公式サイト:
https://www.fujimakiryota.com/

 

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